厚生労働省の「創薬力の強化・安定供給の確保等のための薬事規制のあり方に関する検討会」は7日、国際共同治験に参加する場合の日本人第I相試験の必要性について議論した。ドラッグラグが顕在化している小児癌や希少疾患などの治療薬については、複数の構成員から日本人対象の第I相を行わずに国際共同治験に参加できる道を開くよう要望する声が上がった。厚労省は次回会合で日本人の第I相試験の要否に関する考え方を提示し、一定の方向性を示したい考えだ。
2007年に発出された課長通知で国際共同治験に参加するためには、「原則として日本人の第I相試験が必要」とされている。製薬業界団体が実施したアンケート結果では、国際共同治験参加前に自国・地域で第I相試験を追加実施した件数は米国2試験、欧州1試験、中国24試験に対し、日本は62試験と突出して多かった。
柏谷祐司構成員(日本製薬工業協会薬事委員会委員長)は、日本人での第I相試験が不要と許容されるケースについて、「限定的であり、許容される場合について業界と行政で共通認識がない」と指摘。
その上で「利用可能なデータから安全性・忍容性のリスクが説明できる場合は、日本人第I相を実施せずとも、国際共同治験に参加できる考え方を原則としてはどうか」と提案した。
それに対し医薬品医療機器総合機構(PMDA)は、「基本的には製薬協の考え方と共通している」としながらも、「(第I相を不要とする場合には)企業からしっかりとした説明を行うのがポイントとなる」との見解を示した。
第I相を不要とする場合には品目ごとにPMDA相談が必要になり、結果として数カ月単位で開発が遅れ、ドラッグラグ/ロスを生み出しているとの指摘に対しては、「日本人第I相試験が不要なケース、必要なケースが蓄積されているので、事例を具体的に示すことで製薬企業の予見可能性が高まるのではないか」とし、通知などで文書化するのが望ましいとした。
構成員からは希少疾患や小児癌治療薬については第I相を免除すべきとの意見が相次いだ。花井十伍構成員(特定非営利活動法人ネットワーク医療と人権理事)は、「原則、日本人第I相を省略するという考え方でもいいのではないか」と述べた。