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若年成人男性のNAFLDとMAFLD、「体脂肪量」が重要な規定因子-岐阜大

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2023年08月03日 AM11:20

増加傾向の「」、NAFLDの高リスク因子を包括した概念「

岐阜大学は8月2日、若年成人男性の体組成と代謝異常関連脂肪性肝疾患および非アルコール性脂肪性肝疾患との関連を明らかにしたと発表した。この研究は、同大保健管理センターの山本眞由美教授、三輪貴生医師らの研究グループによるもの。研究成果は、「Hepatology Research」に掲載されている。


画像はリリースより
(詳細は▼関連リンクからご確認ください)

肥満人口の増加に伴い、(nonalcoholic fatty liver disease:NAFLD)は世界的に増加傾向であり、日本でも今後NAFLDが増加することが見込まれている。近年、脂肪性肝疾患の新概念として脂肪肝と肥満、、2種類以上の代謝異常を併発することで診断する代謝異常関連脂肪性肝疾患(metabolic dysfunction-associated fatty liver disease:MAFLD)が提唱された。MAFLDはNAFLDの高リスク因子を包括した概念であるため、肝硬変、肝発がん、心血管疾患の発生リスクが高い患者を効率的に同定することが期待されている。しかし、若年世代におけるNAFLDおよびMAFLDの現状と体組成との関係に関しては明らかではない。

男子大学院生335人対象、NAFLD・MAFLDの現状と体組成を含む関連因子を検討

そこで今回の研究では、若年成人男性を対象としてNAFLDおよびMAFLDの現状と体組成を含む関連因子に関して検討した。同大入学時健康診断を受診した男子大学院生335人を対象とし、通常の健康診断項目に加えて、腹部超音波検査と生体電気インピーダンス法による体組成測定、握力測定を行い、NAFLDおよびMAFLDの現状と体組成を含む関連する因子に関して検討した。

年齢中央値22歳の若年成人男性で8%がMAFLD、16%がNAFLD

参加者の年齢中央値は22歳、body mass index(BMI)中央値は21kg/m2であり、9%がBMI 25 kg/m2以上の肥満症を有した。腹部超音波検査により、脂肪肝は全体の17%が有し、8%が MAFLD、16%がNAFLDと判定された。また、8%はMAFLDおよびNAFLDの両者を有していた。

かくれ肥満、若年成人男性の脂肪性肝疾患を規定する重要な因子

体組成とNAFLDおよびMAFLDとの関連に関する検討では、年齢、骨格筋量(skeletal muscle mass index)、体脂肪量(fat mass index)、握力を含めた多変量解析を行い、体脂肪量がNAFLDおよびMAFLDを規定する独立因子であることが明らかとなった。また、(BMI < 25 kg/m2)の参加者305名を対象として同様の多変量解析を行ったところ、非肥満の参加者においても体脂肪量がMAFLDおよびNAFLDを規定する独立因子だった。

このことから、日本人若年成人男性において体脂肪の蓄積は、既存概念であるNAFLDと新規概念であるMAFLDの両者を規定する重要な因子であることが明らかとなった。また、非肥満の日本人若年成人男性においても、脂肪の蓄積がMAFLDおよびNAFLDの原因となることが明らかとなった。これらの因子を用いた決定木解析やランダムフォレスト解析でも、同様の解析結果だった。以上のことにより、BMIでは正常体重と判定されるが、実際には脂肪が蓄積している「かくれ肥満」が若年成人男性の脂肪性肝疾患を規定する重要な因子であることがわかった。

非肥満者、体脂肪量・骨格筋量・血清中性脂肪値の包括的なアセスメントが必要と示唆

次に、日常診療における体組成の簡易指標であるBMIの役割を明らかにするため、年齢、BMI、骨格筋量、体脂肪量、握力を含めて決定木解析を実施。参加者全体では、MAFLDおよびNAFLDを規定する因子としてBMIが抽出され、日常診療における脂肪性肝疾患の簡易指標としてのBMIの有用性が明らかとなった。

また、非肥満の参加者では第一にBMI、第二に骨格筋量が抽出された。このことから、BMIは非肥満の対象者においてもMAFLDおよびNAFLDの簡易指標となり、脂肪蓄積に次いで骨格筋量が脂肪性肝疾患の病態に寄与していることが明らかとなった。

最後に、各内分泌代謝異常を代表する血液検査指標および体組成を含めてランダムフォレスト解析を行った。ランダムフォレスト解析では、参加者全体においてBMIがMAFLDおよびNAFLDに最も寄与する因子であり、非肥満の参加者では血清中性脂肪値がMAFLDおよびNAFLDに最も寄与する因子であることが明らかとなった。

以上のことから、年齢中央値22歳の若年成人男性において、16%がNAFLD、8%がMAFLDを有し、体脂肪量が病態に重要な役割を果たしていることが明らかとなった。また、非肥満の脂肪性肝疾患に関しては体脂肪量のみならず骨格筋量や血清中性脂肪値を含めた包括的なアセスメントが必要であることが示唆された。同研究結果により、若年成人男性における脂肪性肝疾患の現状が明らかになり、個人の病態に応じた予防および治療方針の策定に寄与することが期待される。

若年世代からの脂肪性肝疾患への介入方法を確立、予後改善に期待

今回の研究により、若年成人男性における脂肪性肝疾患と体組成の関係が明らかになった。この知見により、若年世代での脂肪性肝疾患の病態理解および早期発見につながる可能性がある。また体組成を含む個人の病態に応じた栄養・運動療法を行うことにより、若年世代からの脂肪性肝疾患への介入方法を確立し、肝硬変、肝発がん、心臓血管疾患を含めた予後改善につながることが期待される、と研究グループは述べている。(QLifePro編集部)

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