薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会は7月31日、第一三共のmRNA新型コロナウイルスワクチン「ダイチロナ筋注」の製造販売承認を審議し、了承した。国内メーカーの単独開発によるコロナワクチンは初めてで、厚生労働省は近日中に通常承認する予定。一方、塩野義製薬の組み換えコロナワクチン「コブゴーズ筋注」については、「現在までに評価された臨床試験成績のみでは有効性を明確に説明するのは難しい」として、継続審議となった。
ダイチロナは厚労省、日本医療研究開発機構(AMED)の支援事業を受けて第一三共が研究開発を進めていた新規核酸送達技術を用いたmRNAワクチン。同社が1月に追加免疫(3回目接種)の適応で厚労省に承認申請を行っていた。コロナウイルスのスパイク蛋白質の受容体結合領域を標的にすることで、コロナに対する予防効果と安全性を持つ。
有効性に関しては、18歳以上を対象とした追加免疫に関する国内臨床試験で起源株に対する同ワクチン接種後の中和抗体価の値について、対照薬である他のmRNAワクチン接種後の中和抗体価に対して同程度に上昇し、中和抗体価の幾何平均上昇倍率について、非劣性が確認された。
安全性についても、18歳以上を対象とした追加免疫に関する国内臨床試験で安全性が検証され、特段の懸念される有害事象は確認されなかった。
18歳以上が接種対象で、追加接種にのみ使用できる。用法・用量は、1回0.6mLを筋肉内に接種し、前回の接種から少なくとも6カ月経過後に接種が可能とした。
一方、コブゴーズは初回免疫(1、2回目接種)、追加免疫によるコロナの予防を適応として2022年11月に塩野義が承認申請していた。同社のグループ企業が保有する昆虫細胞等を用いた蛋白発現技術による遺伝子組み換え蛋白ワクチンで、ウイルスの遺伝子情報から目的とする抗原蛋白を発現・精製後、アジュバントを添加して投与される。
国内で実施した五つの臨床試験結果に基づいて承認申請が行われたが、部会では、比較対照とした中和抗体価の値等を総合的に判断し、「現在までに評価された臨床試験成績のみでは有効性を明確に説明することが難しい」と結論づけた。参考資料として提出されている臨床試験の成績など、新たな試験成績等に基づき、改めて評価を行うこととした。