医薬品医療機器総合機構(PMDA)は27日、糖尿病治療薬であるジペプチジルペプチダーゼ4(DPP-4)阻害剤の副作用で、類天疱瘡が発現後も投与継続により症状が悪化した事例を報告し、同疾患の発現が疑われる場合は投与を中止するなど適切な処置を取るよう求めた。
DPP-4阻害剤は、アナグリプチン含有製剤、サキサグリプチン水和物など9品目が国内で販売されている。副作用の一つとして、原因不明のまま皮膚に水疱が発現する疾患である類天疱瘡が確認されており、添付文書等で注意喚起が行われている。
PMDAは、70代男性がシタグリプチンの投与開始後、3~4カ月目に水疱が出現し、自然軽快を繰り返し投与7カ月目に水疱が多発して全身に広がり、内服剤や外用剤で治療したものの改善せず、水疱性類天疱瘡と診断された事例を紹介した。
近年、DPP-4阻害剤による類天疱瘡の副作用報告件数は、企業報告と医療機関報告を合わせた件数が2018年度の365件から、22年度には149件と漸減傾向にある。
ただ、PMDAは、事例を踏まえて注意喚起が必要と判断。「投与後に類天疱瘡が発現した患者で、初期症状である皮膚の異常が見られた後も投与が継続された結果、悪化を来し、入院に至っている事例が報告されている」と説明。
その上で、使用中に掻痒を伴う浮腫性紅斑、水疱、びらん等が現れ、類天疱瘡の発現が疑われる場合は速やかに皮膚科医と相談し、投与を中止するなどの適切な処置を行うよう注意喚起した。