森昌平委員(日本薬剤師会副会長)は「共連れルールは薬理作用が類似であっても効能が異なるものが対象となっており、導入当初想定されなかったものが対象となっている。類似薬効比較方式で算定されても、類似性の程度や考え方が以前とは異なってきている。類似品への影響を丁寧に見た上で、どのような仕組みにするのか市場拡大再算定全体で整理していくべき」との考えを示した。
これに対し、他の委員からは慎重な意見が相次ぎ、長島公之委員(日本医師会常任理事)は「国民皆保険維持の観点で類似品の範囲を考えないといけない」と述べた。支払側の松本真人委員(健康保険組合連合会理事)は、22年度改革で再算定対象品目の類似品について1回に限り、4年間は再算定ルールの適用対象外とする措置が適用されたことを受け、「延長ルールが設けられたばかりで、検証できていないのに業界が要望しているルールの廃止は難しいのではないか」と主張した。
石牟禮武志専門委員(塩野義製薬渉外部長)は、「再算定の対象となる医薬品はどれが対象品となるのか分からず、情報の把握が困難」と事業の予見性がないことを改めて訴えた。12年度改革で市場で競合状態にない医薬品について、必要な医薬品を供給する観点から類似品から除外したように「同様に見直す必要がある」と要望した。
市場拡大再算定ルールの運用については、安藤伸樹委員(全国健康保険協会理事長)が、高額医薬品の評価に言及。「抗アルツハイマー病治療薬レカネマブが議論の俎上に挙げられることを考えれば、慎重な議論が必要。薬剤の特徴を踏まえたきめ細やかな議論がどこまで可能かも含め検討していくべき」と述べた。
また、希少疾病や小児の効能等が追加された品目については、薬価改定時に高い加算を受けやすい算定ルール見直しを求める声が出た。