解熱・鎮痛等を効能・効果とするアセトアミノフェン製剤は、禁忌として、▽消化性潰瘍▽重篤な血液異常▽重篤な肝障害▽重篤な腎障害▽重篤な心機能不全▽同剤の成分に対して過敏症の既往歴がある▽アスピリン喘息(非ステロイド性消炎鎮痛剤による喘息発作の誘発)またはその既往歴がある――に当たる患者を対象としている。
一方、日本運動器疼痛学会は2月、同剤はガイドライン等で非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAIDs)に比べて腎機能や体液貯留に対する影響が少なく、NSAIDsが使用困難な患者にも治療選択肢となることが記されているとして、「重篤な腎障害」「重篤な心機能不全」の患者を禁忌から解除するよう厚労省に要望していた。
また、関連ガイドラインなどで同剤が消化性潰瘍、血液異常、アスピリン喘息を持つ患者にも治療選択肢となることが確認されたとし、厚労省はこれら患者集団への注意喚起を見直すことを決めた。
この日の調査会で厚労省は、アセトアミノフェン製剤の添付文書に関する改訂案を示し、五つの患者集団全てで「禁忌」の項目から削除するとした。重篤な心機能不全、消化性潰瘍、重篤な血液異常の3集団については、「特定の背景を有する患者に関する注意」の項目で注意喚起を行う。
重篤な腎障害に関しては「腎障害またはその既往歴のある患者」として、症状悪化や再発の懸念から投与量・投与間隔の調節を考慮するよう求める注意喚起を記載。アスピリン喘息またはその既往歴のある患者については、単剤とジプロフィリン・アセトアミノフェン等配合剤は単剤の「用法・用量に関連する注意」の項目で1回300mg以下とする注意喚起を行う。
トラマドール塩酸塩・アセトアミノフェン配合剤は「抜歯後の疼痛」に対しては引き続き禁忌とし、「非癌性慢性疼痛」には1回1錠とすること、同配合剤を用いず、個別のアセトアミノフェン製剤を用いた用量調節を考慮するよう注意喚起する。
坪井直毅参考人(藤田医科大学医学部腎臓内科学主任教授)は、重篤な腎障害患者について、「腎障害の既往歴がある人も含まれているが、既往歴が曖昧で再発を引き起こす理論的根拠も今のところない。腎障害と限定すべき」と主張したほか、改訂案に対して複数の指摘が出た。
そのため厚労省は、情報収集後に改めて改訂案を示し、再度審議することにした。