城氏は、厚労省医政局医薬産業振興・医療情報企画課(旧経済課)の課長を経験し、前職では医薬産業振興・医療情報審議官として有識者検討会を主導した。医薬・生活衛生局長の就任に当たって、「医薬品・医療機器を安全に提供する仕事で、国民の生活や生命に密着しており、(産業振興を行う)旧経済課の仕事は忘れなければいけないのではないかと思っている」との認識を示した上で、「産業の視点は大事だがユーザーや患者、医療機関、治療の視点を忘れてはいけない。産業から一つ切り離してファクトやサイエンスベースで処理をしていきたい」と抱負を語った。
有識者検討会での取りまとめを受け、今月10日に「創薬力の強化・安定供給の確保等のための薬事規制のあり方に関する検討会」(薬事検討会)が立ち上がった。城氏は、革新的医薬品の早期上市と医薬品の安定供給実現に向け、医薬局が担うべき重要な業務について、「ドラッグラグ・ロス対策としての薬事的な対応」と「薬事監視」の2点を挙げた。
特にドラッグラグ対策としての薬事的対応に向けては、「日本にとって供給してほしい医薬品をきちんと供給してもらうために、薬事に対応すべきところがあれば対応していく」と表明した。
薬事検討会では、「小児用医薬品開発や日本で開発してほしい医薬品、ベンチャー由来の医薬品開発をきちんと促進していく際に、日本人データの必要な範囲などの結論を得ていくことが一つの課題」とし、今後の進め方については「全部まとまるまで待つ必要はないので、できるものからやっていくということになる」と明言した。
希少疾患や難病などアンメットメディカルニーズが高い領域における医薬品開発を促進していくためには、「薬事的にサイエンスを見直し、データの数や必要性を検討した上で、別のルールでも良いということが分かれば、特別なルールを作ることも検討したい」とも語った。
一方、医薬品の販売制度に関する検討会での議論については、「ルール上の見直しなど販売制度のあり方を検討することになっている。デジタルによる販売方法がいいのか、ユーザー側の意見も含め関係者の意見を聞かなくてはいけない」と述べるにとどめた。