厚生労働省は20日、塩野義製薬の新型コロナウイルス感染症治療剤「ゾコーバ錠」(一般名:エンシトレルビルフマル酸)など医療用医薬品13品目について、添付文書の「使用上の注意」を改訂するよう製造販売業者に指示した。
ゾコーバでは、「重大な副作用」の項目にアナフィラキシーを追記する。因果関係が否定できない症例が1件確認され、潜在的リスクとして自明で緊急承認品目として遅滞ない安全対策措置が重要と考えたことから、改訂が適切と判断した。
日本イーライリリーの2型糖尿病治療剤「マンジャロ皮下注」(チルゼパチド)では、重大な副作用の項目にアナフィラキシー、血管性浮腫を追記する。
アナフィラキシーでは因果関係が否定できない症例が国内で1件、海外で8件、血管性浮腫では海外で因果関係が否定できない症例が6件報告されたことを踏まえた対応。
ファイザーの抗菌剤「ミノマイシン顆粒、同錠、同カプセル、同点滴静注用」(ミノサイクリン塩酸塩)に関しては、重大な副作用の項目の「全身性紅斑性狼瘡(SLE)様症状の増悪」をループス様症候群に変更するほか、長期投与例における同疾患の発現に関する注意喚起を追記する。
ループス様症候群と因果関係が否定できない国内症例が3件確認され、同疾患の発現は長期投与例で多い傾向が見られたため、改訂が適当と判断した。
ヴィアトリス製薬の「リピトール錠」(アトルバスタチンカルシウム水和物)、オルガノンの「リポバス錠」(シンバスタチン)など、HMG-CoA還元酵素阻害剤を含有する10品目については、「特定の背景を有する患者に関する注意」または「慎重投与」の項目に、重症筋無力症またはその既往歴のある患者を追記する。
また、重大な副作用の項目にも同疾患を追記した。因果関係が否定できない国内症例が1件確認されたこと、国内外のガイドラインで重症筋無力症において注意が必要な薬剤としてスタチンが記載されていることなどを踏まえ、改訂に踏み切った。