調査は、3次救急病院308施設、無作為に抽出した2次救急病院300施設、日本臨床救急医学会の薬剤師会員が所属する2次救急病院全192施設の計800施設を対象に実施。救急部門長を担当する医師と薬剤部長から回答を求め、回答率は20%台だった。
救急外来での薬剤師の勤務体制について、平日の日勤帯は3次・2次救急病院の約40%で薬剤師が常駐やオンコールで、現場で業務を実施していた。電話のみで対応している病院も多かった。休日の日勤帯では常駐やオンコールで薬剤師が現場で業務を実施していた割合は3次救急病院では約10%、2次救急病院では約25%だった。
医師の希望を聞いたところ、平日の日勤帯では半数以上の3次・2次救急病院が薬剤師の常駐を希望し、休日日勤帯でも薬剤師の常駐を希望する病院は少なくなかった。
救急外来で薬剤師が最も実施していた業務は薬品管理だった。40%以上の3次・2次救急病院で実施していた業務は、▽TDM▽用法用量や相互作用の確認▽中毒に関する情報提供▽薬剤準備▽副作用モニタリング▽薬物治療の提案▽注射ルート管理▽患者・家族への薬剤の説明――だった。
これらを含む17項目の業務のうち、ほとんどが80%以上の医師から「かなり有用」「有用」と評価され、「あまり有用でない」などの否定的な意見はごく少数だった。
救急外来への薬剤師配置の障害要因について多くの医師が、▽薬剤師の数が少なくて配置できない▽薬剤師業務に対する診療報酬がない▽薬剤師の配置が診療報酬上の施設基準にない――と回答した。
救命救急センターやICUへの薬剤師の配置は、薬剤管理指導料や病棟薬剤業務実施加算2が算定可能になったことで進んだが、一方、救急外来における薬剤師の配置は十分ではない。
ウェブ上で開催中の日病薬フューチャーファーマシストフォーラムで調査結果を報告した同委員長の鈴木昭夫氏(岐阜大学病院薬剤部長)は「今後、救急外来における薬剤師業務をさらに推進するために、診療報酬の新設や業務指針の作成が望まれる」と語った。