安川氏は、病棟薬剤業務実施加算1の届出状況について、「病床規模が多いところは届出がある程度されているが、中小病院など病床規模が小さいところは少ない。病棟業務はある程度評価されてきているが、全体で見ると届出ができるほど取り組んでいるのはなかなか少ない」と指摘した。
その上で、「薬剤師の人員確保が加算の障害になっている」との見方を示し、2024年度の診療報酬改定に向けては「薬剤師業務を分析しながら、どういう評価につなげるか考える必要がある」と述べた。
医師の負担軽減も病院薬剤師の評価のポイントに挙げた。医師を対象に実施した各施設で実施している医師の負担軽減策に関する調査では、上位5回答のうち、「薬剤師による投薬に関する患者への説明」「薬剤師による患者の服薬状況、副作用等に関する情報収集と医師への情報提供」など三つが薬剤師業務で占めた。
安川氏は「病院薬剤師業務が医師の負担軽減にもつながる要素になっている。評価を踏まえ、今後の取り組みをどのように考えていくかも大きな視点になる」との考えを示した。
薬局との連携についても、「連携体制で必要な取り組みがあれば、新たに評価をいろいろ考えていくことになる」と述べた。
2022年4月に新設された周術期における薬学的管理の評価や、小児入院医療管理料を算定する病棟の病棟薬剤業務実施加算の評価のあり方を見直したことについては、「現場でエビデンスを示した結果」と評価。「必要な業務を評価するためには、実際の実績とそれに伴う効果があったかを議論の中で示せるようまとめる必要がある」と強調し、現場から病院薬剤師業務のエビデンスを発信するよう改めて呼びかけた。
一方、薬剤師確保に向けては、「新しい時代の薬剤師の姿は国が示すのではなく、皆さんの手で示すことが大事。明るい薬剤師像を作り、人口減社会で薬剤師の希望者を増やしていく。そのために行政としてもしっかり応援していきたい」とエールを送った。