仮想専用回線を用いて手術映像の送受信が可能
徳島大学は7月13日、へき地病院での手術を安全に行うための遠隔手術支援システムを開発したと発表した。
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徳島県における外科診療は、外科系志望学生の減少に加え、医学生の都市志向、ベテラン医師の勤務医離れにより、外科医の偏在化が進んできている。このような状況下で、地方病院に対して限られた人員でより効果的な診療支援を行い、若手医師が魅力を感じることができる研修体制を確立することが必要だ。
そこで同大は、徳島県の外科医不足に困窮する地域に等しく高度な医療技術を伝承するため、Virtual Private Network(VPN:仮想専用回線)を用いて同大病院と徳島県立三好病院(以下、三好病院)との間で手術映像を送受信できるシステムを開発した。
卒業後4年目/12年目の医師が、遠隔指導による腹腔鏡下手術を10例実施
開発された手術画像配信システム「ADMENIC ANNOTATOR」(カリーナシステム株式会社)は、1GbpsのVPN専用回線を使用。平均遅延速度は250ms(最小190ms~最大290ms)で、遠隔手術指導で推奨されている450ms以内を満たしている。
ADMENIC ANNOTATORは音声によるリアルタイムなコミュニケーションのみならず、実際の手術映像にタッチペンで書き込みができるアノテーション機能を有しており、2023年4月の導入以降、徳島大学病院の内視鏡技術認定医による遠隔手術指導のもと、三好病院で卒業後4年目、12年目の外科医師が腹腔鏡手術を実施。これまでに腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術を5例、腹腔鏡下大腸切除術3例、腹腔鏡下胃切除術2例を行ったという。
若手医師に魅力のある研修システムの確立、外科医偏在化の解消に寄与
実際に遠隔指導を受けた医師は「画質や音声は問題なく、タイムラグも感じることはなかった。へき地にいても専門的な指導が受けることができるので有用なシステムだと思う」「音声だけではなくアノテーション機能があることで、指導内容がより具体的でわかりやすかった」と、述べている。
徳島大学は、へき地病院に遠隔手術指導システムを導入することで、へき地で勤務していても専門医から手術指導を受けることが可能となり、若手医師に魅力のある研修システムの確立、外科医偏在化の解消に寄与すると思われる、と述べている。
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・徳島大学 プレスリリース