新生児の心音・呼吸音、ノイズが混ざり聴き取りづらい
国立成育医療研究センターは7月11日、新生児の聴診を学べる教育システムを開発したと発表した。この研究は、同センターと株式会社テレメディカとの共同研究によるものだ。
画像はリリースより
(詳細は▼関連リンクからご確認ください)
聴診は、心臓や呼吸器に異常がないかどうかを調べるために、心音や呼吸音などを聴くことである。例えば、心臓の弁がしっかり閉まらず血液の逆流などが起こっている場合などは、疾患の種類によってさまざまな雑音として聴こえる。新生児の心音・呼吸音は成人よりも速度が早く、また泣いたりじっとしていないなど、さまざまなノイズが混ざることによって聴き取りづらいため、異常を見つけるのが難しくなっている。また、これまで新生児の聴診に特化した教育システムはなかった。
心疾患のある新生児の心音などの録音データからノイズを除去し、聴きやすく編集
システム開発にあたり、同センターで生まれ、心臓や呼吸に何らかの異常のある新生児のべ50人から心音や呼吸音を録音し、テレメディカがすでに開発している聴診学習システムに搭載した。録音されたものの中には、ファロー四徴症や動脈管開存、心室中隔欠損などの疾患のある新生児の心音・呼吸音もある。教育システムに搭載する際には、可能な限りノイズを除去し、医療従事者が聴き取りやすい編集している。同システムでは、画面に表示された新生児を実際と同じように聴診する感覚で音を聴けるため、聴診部位と心音・呼吸音の関係も学ぶことができる。新生児の疾患や状態、心音の特徴を解説することで、より効率的に聴診について学ぶことが可能となる。
周産期医療者のスキルアップに期待
「今回の共同研究により、新生児の異常を発見したり、治療後の経過観察を行ったりするために欠かせない聴診スキルを学ぶための教育システムを開発した。より多くの周産期医療者が新生児の観察をより適切に実践できるようになることが期待される。この教育システムは、国内だけでなく世界中に展開しており、あらゆる地域で出生する子どもの健康と明るい未来に寄与できると考えている」と、同センターの新生児科の甘利昭一郎氏は述べている。
▼関連リンク
・国立成育医療研究センター プレスリリース