フォーミュラリをめぐっては、政府が「経済財政運営と改革の基本方針2021」で活用方針を示したことを踏まえ、2022年度厚生労働科学特別研究事業で運用に関する基本的な考え方をまとめた。来年度からの第4期医療費適正化計画の基本方針でも、通知内容を参考に地域や医療機関でフォーミュラリの活用を進めるよう求めている。
通知では、フォーミュラリでは疾患領域等に応じて使用される医薬品を示すことになるが、医薬品の使用(処方)が制限されるものではないと明記。医学・薬学的理由により必要と判断される場合は、フォーミュラリが示す医薬品以外を使用することは可能とした。
フォーミュラリ作成の主体として、医療機関の医師と薬剤師、薬局薬剤師、地域の医療関係者で組織を設置し、地域の医師会や薬剤師会等の関係団体と協力しながら、契約関係など利益相反の開示を含めて透明性を確保し、対応すべきとした。地域の医療事情をきめ細かく反映させ、実効性を高めるには薬務主管課等の行政機関や保険者の関与も検討すべきとした。
対象医薬品として、アンジオテンシンII受容体拮抗薬等の降圧薬、α-グルコシダーゼ阻害薬等の糖尿病用薬、HMG-CoA還元酵素阻害薬など高コレステロール血症治療薬といった生活習慣病薬、抗ヒスタミン薬等の抗アレルギー薬など、後発品を有することも含めて同種同効薬が多く存在する疾患領域の薬剤が考えられるとした。
採用する薬剤の選定では、有効性・安全性のほか、経済性の観点でも検討し、可能なら推奨順位も示すことも考慮すべきとした。選定された収載薬が地域の実臨床で活用可能なものかどうか確認するため、地域の処方状況等を事前に把握すると共に、薬剤師、医師等の関係者の意見も丁寧に収集し、十分に協議した上で最終決定する。
作成したフォーミュラリは、地域の医療機関、薬局、薬剤師会等の関係団体、行政に周知して説明会を行うなど、地域のステークホルダーが内容を理解できるよう丁寧に説明すべきとした。一方、年4回の新薬、年2回の後発品薬価収載のタイミングでフォーミュラリを定期的に更新し、更新時にも薬局等の意見を聞くよう求めた。