医薬品医療機器総合機構(PMDA)は7日、GMP指摘事例速報(オレンジレター)を公表した。安定性モニタリングのリテスト期間5年の原薬において、48カ月時点での類縁物質が規格上限値付近に到達していたものの、規格内であったため、当該製造所が原因調査やリスク評価等をしていなかった事例を報告した。PMDAは、国内の製造所に対し、試験結果が規格内であることの確認だけでなく、品質異常の兆候がないか評価・検討する手順であるかを確認するよう呼びかけた。
今回のオレンジレターでは、品質異常の兆候を見逃し、措置を講じていなかった事例を紹介した。確認された事例では、当該製造所で製造するリテスト期間5年の原薬を「再加工」したロットに対し、安定性モニタリングを実施したところ、不純物である類縁物質Aの48カ月目の試験結果が規格上限値付近に到達していたことが判明。通常ロットの傾向と異なり、直近1年間で急増していた傾向にあった。
これに対し、製造所は類縁物質Aが規格内であったため、急増した原因調査やリスク評価、製造販売業者への連絡等が未実施となっていた。
PMDAは同事例のリスクについて、「経時的変化以外の要因により、品質が低下している可能性が否定できない状態であることから、リテスト期間中に規格に適合している保証がない」と説明。
規格不適合になるまで措置を講じなかった場合、規格を満たさない原薬を使用した製品が市場に流通してしまうリスクがあるとした。
安定性モニタリングで有効期間・リテスト日に満たない時点で規格を逸脱し、製品回収となる事例が散発していることを踏まえ、PMDAは、通常とは違う変化の兆候があった場合に傾向に異常がないかを評価・検討する手順の点検や、規格の不適合が生じる可能性のある結果が得られた場合に原因調査を実施しているかなどを再度確認するよう求めた。