医療従事者の為の最新医療ニュースや様々な情報・ツールを提供する医療総合サイト

QLifePro > 医療ニュース > 医療 > 皮膚タイトジャンクションの緩和・強化作用を示す化合物とその機能性を確認-名大ほか

皮膚タイトジャンクションの緩和・強化作用を示す化合物とその機能性を確認-名大ほか

読了時間:約 1分57秒
このエントリーをはてなブックマークに追加
2023年07月06日 AM10:56

皮膚への浸透性や、皮膚中の水分・有用成分の保持力を高める化合物を探索

名古屋大学は7月5日、(TJ)への緩和および強化作用を示す成分の機能性を確認し、これらの成分を用いた頭皮用化粧料に関しての特許を取得したと発表した。この研究は、同大大学院創薬科学研究科構造分子薬理学分野の廣明秀一研究室、日華化学株式会社毛髪科学研究所の研究グループによるもの。研究成果は、日本顕微鏡学会第79回学術講演会でポスター発表された。


画像はリリースより
(詳細は▼関連リンクからご確認ください)

日華化学では、日本人の地肌と毛髪を40年以上にわたって研究し続けている。美しい地肌、髪をもたらす薬剤の機能性効果を高めることを目的として、医薬品吸収促進剤を含むTJ制御技術を研究する名大の廣明秀一研究室と4年間に渡り共同研究を実施した。今回の研究は、薬剤中の機能性成分の皮膚への浸透性を向上させる化合物、皮膚中の水分や有用成分の保持力を高める化合物の探索を目的とした。名大ではタンパク質-化合物間相互作用の類似性検索にてTJを制御するフラボノイドを探索し、候補成分を絞り込み、細胞を用いた機能性確認試験を実施した。日華化学では、細胞試験で得られたTJ緩和および強化作用を示す成分において、ヒト三次元培養表皮モデルを用いた試験にてヒト皮膚での効果を確認した。

TJ緩和作用を示すオウゴンエキスとTJ強化作用を示すグレープフルーツエキスの機能性を確認

タンパク質-化合物間相互作用の類似性検索でTJを制御するフラボノイドを探索し、候補成分を絞り込んだ。その後、イヌ腎臓尿細管上皮細胞(MDCKⅡ)を用いて、候補化合物を添加し、免疫染色にてTJの構築に必要なタンパク質CLD-2の蛍光を確認した。

その結果、フラボノイドの1種バイカリンとそのアグリコンであるバイカレインにおいては、TJの構築を示すCLD-2の網目模様がコントロールに比べて薄くなる傾向が見られ、TJの緩和作用を確認した。また、フラボノイドの1種であるナリンギンとそのアグリコンであるナリンゲニンでは、CLD-2の網目模様がコントロールに比べて明瞭になる傾向が見られ、TJの強化作用を確認した。

ヒト皮膚への機能性確認には、ヒト三次元培養表皮モデルに化粧品原料であるバイカリンを含むオウゴンエキス、ナリンギンを含むグレープフルーツエキスをそれぞれ添加し、TJの構築に必要なタンパク質であるCLD-1の蛍光を確認した。その結果、オウゴンエキスではコントロールに比べてTJの網目模様が薄くなる傾向が見られ、グレープフルーツエキスではコントロールに比べてTJの網目模様が明瞭になる傾向が見られ、バイカリン、ナリンギンをそれぞれ含有する化粧品原料におけるヒト皮膚でのTJ緩和作用、TJ強化作用を確認した。

バリア機能強化など機能性効果を高めたスカルプケア商品の開発を目指す

日華化学は、今回研究で確認された成果を活かして、これらのTJ緩和および強化作用を有する成分を配合し、育毛や地肌の保湿、バリア機能強化などの機能性効果をより高めた多くの髪の悩みを抱える人々に向けたスカルプケア商品の開発を目指すとしている。

このエントリーをはてなブックマークに追加
 

同じカテゴリーの記事 医療

  • 前立腺がん、治療決定時SDMが患者の治療後「後悔」低減に関連-北大
  • 糖尿病管理に有効な「唾液グリコアルブミン検査法」を確立-東大病院ほか
  • 3年後の牛乳アレルギー耐性獲得率を予測するモデルを開発-成育医療センター
  • 小児急性リンパ性白血病の標準治療確立、臨床試験で最高水準の生存率-東大ほか
  • HPSの人はストレスを感じやすいが、周囲と「協調」して仕事ができると判明-阪大