ガイドラインは、2022年度厚生労働科学研究医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究事業「地域共生社会における薬剤師の対物・対人業務の充実に関する調査研究」(研究代表者:熊本大学大学院生命科学研究部入江徹美氏)の研究成果によるもの。当初、海外のガイドラインを参考にしていたが、そのまま日本に導入するのは難しいと判断し、独自のガイドラインを作成した。
外部委託の対象となる調剤業務は一包化に限定し、委託先は「薬局」「同一法人内に限定しない」「同一の三次医療圏内」を条件に、外部委託を行う場合として作成している。委託薬局は受託薬局の情報等を確認した上で、受託薬局を適切に選定し、契約を締結した上で業務委託を行うとした。同一法人等の薬局間であっても、契約に準ずる覚書等を交わした上で業務委託を行うこととしている。
調剤業務の一部外部委託を行った場合でも、患者に対する調剤の責任は処方箋を受け付けた委託薬局・当該薬局の薬剤師にあるとした一方、受託薬局から他の薬局への再委託は禁止した。委託薬局と受託薬局は契約締結後、事前に取り決めをし、手順書を作成する。
調剤業務の一部外部委託は、委託薬局の責任のもと、当該薬局の薬剤師が処方箋ごとに検討し、委託が可能であると判断した場合に実施する。
受託薬局は、委託薬局の指示に基づき、▽指示内容の確認▽一包化に必要な医薬品の準備▽一包化の作業▽薬包への印字▽一包化された薬剤の確認▽業務完了の連絡、作業完了品の発送――の一連業務を行う。作業完了品は委託薬局宛てに発送し、患者への直送は委託薬局による調剤鑑査を条件とした。
処方医から一包化を行うよう指示された処方箋で散剤が含まれている場合は、調剤業務の一部外部委託を不可とした。急性期疾病に関する薬剤を調剤するケースなど患者に対し、速やかに薬剤交付を行うことが必要な場合や麻薬、覚醒剤原料、放射性医薬品、薬局間譲渡不可の医薬品の調剤、温度管理が厳格な医薬品の調剤も外部委託が適さないとした。
また、受託薬局はガイドラインに記載された業務受託体制、構造設備を整備する必要があるとし、、調剤業務の一部受託における品質マネジメントシステムに関する国際規格ISO9001などの第三者認証取得がなされていることが望ましいとした。