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【文科省】中山間地域で臨床実習実施-薬学教育モデル事業選定

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2023年06月30日 AM10:55

文部科学省は27日、2023年度に新設した予算事業「地域の医療ニーズに対応した先進的な薬学教育に関する取組支援事業」の公募結果として、広島大学、熊本大学、名古屋市立大学、山陽小野田市立山口東京理科大学の4大学4件を選定したことを公表した。県を跨いだ中山間地域における臨床実習のほか、医療デバイス機器による在宅医療の疑似体験などIT技術を活用した教育プログラムもあり、へき地や在宅など地域の医療課題に対応できる薬剤師を育成する。

同事業は、少子高齢化による医療環境の変化、薬剤師の地域偏在、薬学教育の質保証等への対応が求められる中、地域の医療ニーズを踏まえた優れた教育プログラムの支援を目的に、今年度から3年かけて実施するプログラムを対象に年間800万円ずつ補助するもの。27大学17件の申請から4件が選定された。

広島大学の事業では、大学、県行政、県薬剤師会、県病院薬剤師会等で構成する「地域医療薬学コンソーシアム」を設けて地域の薬剤師確保や医療体制確保を推進する。医療機関が求人や研修に関する情報、学生や薬剤師は就職や研修の希望をウェブ登録し、検索結果に基づき学生等が応募を行う実習、就職、薬剤師の生涯研修をシームレスにつなぐ全国初のマッチングシステム「」も構築する。

教育面では、広島県中山間地域の病院、島根県の病院・薬局で2週間の臨床実習を学部生に実施し、学生の地域医療に対する意識変容を図る。

熊本大学は、南九州の大学、行政、薬剤師団体、学生で組織する「南九州薬剤師地域偏在検討会議」を設け、早期体験学習・実務実習の一環として各県の医療の特色・地域の魅力を学ぶ。ウェアラブル端末、VRゴーグル等の医療デジタル機器の活用により、副作用や症状をモニタリングして医師を支援する方法論を発展させた新規学習コンテンツを作成し、へき地や被災地で課題となるマンパワー不足に対応可能な新時代の薬剤師職能の開発に取り組むとした。

名古屋市立大学は、既に連携大学で実績のある高齢化、人口減少地域での学習プログラム地域を活用し、学部4年生以上を対象に行う「アドバンスト学習」の地域を確保。地域の行政・医療関係機関と連携してプログラムを策定する。

地域診断、医療施設等での体験学習、多職種との交流などを行い、地域を情報発信する映像コンテンツ制作に必要な撮影も実施。映像コンテンツ教材では、学生の体験がより鮮明に再現可能なVR教材も制作し、大学が保管し、学生教育、薬剤師会等の研修にも利用する。

山口東京理科大学では、病院薬局実務実習を終えた学生を対象としたアドバンストコースとして、へき地の在宅医療実務実習を導入。これに5G、仮想現実(VR)、AR(拡張現実)を掛け合わせてへき地医療・在宅医療の問題点を理解し、解決に向けて実践できるマインドを育成する。

具体的には、グラスを活用し、現実空間に3Dモデルの仮想空間を重ね、在宅医療における薬剤師の活動を疑似体験し、地域医療ニーズに対応した先進的な薬剤師の活動を学ぶ。5Gと人工知能(AI)感情解析ソリューションによる服薬指導実習の教育プログラムと、メガネ型ウェアラブル端末を活用した遠隔地服薬指導の実習を融合し、へき地オンライン服薬指導実習にも取り組む。

■定員増の薬学部公表

また文科省は、来年度からの私立大学の収容定員の増加に関する学則変更予定を公表した。薬学部薬学科では、東邦大学が今年度から25人増の245人、神戸薬科大学は10人増の280人となる。

文科省は大学設置・学校法人審議会に諮問するため、既に4月の時点で公表していたが、審議会の了承を得たことから、正式な公表に至った。

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