有識者検討会の報告書では、希少疾病用医薬品や新薬創出等加算品、長期収載品、後発品など医薬品の特性分化により、取引体系の違いがあることを考慮し、「薬価差の偏在の是正など適切な流通環境を整備する必要がある」と記載された。総価取引に含まれることが多い医療上必要な医薬品については「従来の取引とは別枠とするなど、流通改善に関する懇談会等で検討の上、流通改善ガイドラインを改訂して対処していくことが必要」としている。
これを踏まえ、流改懇では、医薬品流通全体を俯瞰した議論からカテゴリー別の取引実態を透明化した上で、取引先や製品の特性に応じた適正な流通のあり方を議論すべきとの意見が相次いだ。
折本健次委員(日本医薬品卸売業連合会理事)は、医薬品卸に対する価格交渉に関するアンケート調査で総価交渉から除外すべきと考える医薬品分類でトップだったのが「オーファンドラッグ」であったことを踏まえ、「これらの品目の薬価が落ちていいのか、安定供給するために議論を始めるべきではないか」と述べた。
宮川政昭委員(日本医師会常任理事)も、「オーファンドラッグは守らないといけない。製品特性に合った流通をしないといけないという決意をして、オーファンは従来の取引から切り離すことが必要」との考えを示した。
一方、購入主体別について、小山信彌委員(日本私立医科大学協会参与)は20店舗以上の薬局チェーンで薬価差額が大きいことを問題視。「薬価差額の半分以上は薬局で、中でも20店舗以上の薬局チェーンの値下げ率が大きい。調剤薬局の値引き交渉が全体を大きく変えており、そろそろメスを入れないといけない時期に来ている」と語った。
これに対し、原靖明委員(日本保険薬局協会医薬品流通・OTC検討委員会副委員長)は、「ガイドラインを遵守していて薬価差が生じているのか、遵守していなくて薬価差が起こっているのか、まずはガイドラインを守らせることが大事ではないか」と反論した。
流改懇はガイドライン改訂を議論する場だが、複数の委員からは「薬価制度を見直さないと流通改善は進まない」との指摘も出た。
厚労省医政局医薬産業振興・医療情報企画課の安藤公一課長は、「制度と流通は密接な関係にある。ガイドラインがどうあるべきかは流改懇で決めるべき話だが、流通実態の課題を踏まえ、制度を見直すべきものについてはしかるべき場につながなければいけない」との考えを示した。
流改懇は通常6月、12月の年2回の開催だったが、今年度は開催頻度を増やす方針である。