GSKは、4月から取引卸の絞り込みを行った。千葉県薬は、GSKが花粉症や喘息など幅広い疾患領域で医薬品を提供している大手製薬企業であることを踏まえ、5月にインターネット上で流通や納品、返品に影響がないか調査し、県内594薬局から有効回答を得た。
その結果、4月以降に「影響があった」と回答した薬局は58.4%と約6割を占めた。そのうち「納品が遅れる」との回答は78%と8割近くに上った。他の卸から納品していたGSK製品について、4月以降に「返品できない」との影響も40%の薬局に見られた。GSK製品の納品について支障があった製品数を聞いたところ、「10製品以上」との回答が90薬局以上に上った。
卸は1日2便から1日1便、さらに土曜配送を中止するなど配送回数を減らす動きがあり、自由回答ではメーカーが卸を絞り込むことで、発注から納品までのタイムラグができ、医薬品の納品が滞るリスクを訴える声が相次いだ。
具体的には、「全ての卸でGSKの薬剤を扱うことができていた時は、発注した卸に在庫がないと薬局に連絡が来た場合でも、すぐ他の卸に在庫確認を行い、それが駄目でも次の卸で薬を入荷でき、患者に支障を来たさなかった。取り扱い卸が減らされ、支障が出ている」とコメントした。
中でも4~5月に限定出荷となったアレルギー性鼻炎薬「アラミスト」は、卸変更で納品実績がなくなってしまった薬局には入荷されず、患者に薬を渡せなかった事例が報告された。
3月までは千葉県を地盤とする医薬品卸の岩渕薬品が土曜急配に対応していたこともあり、「金曜午後の発注で患者の手元には月曜午後になる」との声もあった。
今後の要望や意見では、「この数年、出荷調整や流通停止など業務に支障があり、患者も薬を探し回る事態が起きている。患者に不利益になるような流通の一方的な縮小は問題」と製薬企業が取引卸を絞り込む動きが加速することを警戒する声もあった。
5月にGSK担当者から千葉県薬に対し、「経営判断に基づき取引卸を縮小した」との説明があったが、改善策は示されなかったという。
今後、調査結果をもとに対応を検討していく方針で、横田氏は「分業委員会で流通の問題を洗い出して意見を出していきたい」と話している。
<訂正>記事中、「GSKが取引卸をアルフレッサにほぼ一本化した」とありますが、取引卸には東邦薬品も含まれます。見出しも「GSK卸絞り込みで薬局影響」とします。