睡眠、労働、食事…世界の人々の24時間の使い方が明らかに
世界中の人々が1日をどのように過ごしているかが明らかになった。子どもから高齢者まで全ての人を平均すると、9時間以上は睡眠または就床していて、その他の時間の多くを自分自身のために使っているという。マギル大学(カナダ)のEric Galbraith氏らの研究によるもので、詳細は「Proceedings of the National Academy of Sciences(PNAS)」に6月12日掲載された。
画像提供HealthDay
この研究では、世界銀行、ユニセフ、経済協力開発機構(OECD)などのデータを用いて、世界人口の約60%を占める58カ国に暮らす人々が、1日をどのように過ごしているのかを分析した。また、これとは別に国際労働機関(ILO)のデータを基に、世界人口の約86%を占める139カ国に暮らす人々の経済活動についても、同様の分析を行った。なお、新型コロナウイルス感染症のパンデミックによる混乱の影響を除外するため、分析対象は2000~2019年のデータとした。それらのデータには、人々の行動が延べ3,956種類に分けて報告されていた。これを、大きく8種類に分け、さらに24種類に細分化した上で、収集された人々の行動に関するデータを再分類し、その行動に使われた時間の平均を算出するという作業を行った。
前者の分析の結果から、人々はベッドや布団の上で最も長い時間を過ごしていることが分かった。その時間は9.1時間に及ぶ。これは世界の成人の睡眠時間の平均として報告されている7.5時間より長いが、この差の理由について著者らは、本研究の分析対象には子どもも含まれていること、および、ベッドや布団の上で眠らずにほかのことをしている人がいるためではないかとしている。Galbraith氏によると、分析対象には11時間の睡眠を取る子どもも含まれていたという。
起きて活動している時間(約15時間)のうち9.4時間は自分自身のための行動に費やされていた。そのうち約6時間半は、読書、テレビ、ゲーム、スポーツ、散歩、社交活動などであり、社交活動は4.6時間であって、就床時間以外の31%を占めていた。自分自身のために使われる時間の中でその他の時間には、健康管理、身だしなみを整えることなどが行われていた。
また、活動している時間のうち3.4時間は自分自身のためではなく、社会活動のためのエネルギー産生、食料生産、公共スペースの掃除など、他者にも影響を及ぼす行動に充てられていた。残り2.1時間は自分の意思ではなく、法律や社会制度などに基づいて規定される行動に使われていた。
一方、後者の経済活動に着目した分析からは、収入を得るためや家庭内労働に約2.6時間(158分)が充てられていることが分かった。これは1日の約11%、活動している時間の約6分の1に相当する。一見少ないように感じるが、世界人口の平均ではなく、労働人口(15~64歳の約66%)の平均では、週当たり41時間の労働に相当する。
経済活動として食料の提供には52分かかっていた。ただしそのうち44分は食料生産活動であり、食品加工が3分、食事の支度は5分に過ぎなかった。このほか、ヘルスケアに使われる時間は4分であることも分かった。
経済活動として食料の提供には52分かかっていた。ただしそのうち44分は食料生産活動であり、食品加工が3分、食事の支度は5分に過ぎなかった。このほか、ヘルスケアに使われる時間は4分であることも分かった。
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