政府の経済財政諮問会議は7日、「経済財政運営と改革の基本方針2023」(骨太方針)の原案を示した。創薬力強化に向けては、革新的な医薬品の開発強化などイノベーションを推進する一方、長期収載品等の自己負担のあり方を見直すことを盛り込んだ。リフィル処方箋の活用に向けては、保険者、都道府県、医師、薬剤師などの必要な取り組みを検討し、実施するとした。今月中旬に取りまとめる計画。
創薬力強化に向けては、イノベーションの評価などのさらなる薬価上の措置、全ゲノム解析等実行計画の推進を通じた情報基盤の整備、大学発スタートアップへの伴走支援、臨床開発・薬事規制調和に向けたアジア拠点の強化、国際共同治験に参加するための日本人データの要否の整理、小児用・希少疾患用医薬品のドラッグラグ・ロス解消に向けた薬事上の措置と承認審査体制の強化を推進することを盛り込んだ。
新規モダリティへの投資や国際展開を推進するため、政府の司令塔機能のもとで総合的な戦略を作成する。OTC医薬品・OTC検査薬の拡大に向けた検討によるセルフメディケーションの推進、バイオシミラーの使用推進、後発品の安定供給確保と産業構造の見直しを図るほか、認知症治療の研究開発を推進するとした。
また、医療・介護サービスの提供体制については、実効性のある医師偏在対策、医療専門職のタスク・シフト/シェア、薬局薬剤師の対人業務の充実と対物業務の効率化、地域における他職種の連携を推進するとした。
レセプト・特定健診情報等に加え、予防接種、電子処方箋、電子カルテ等の医療介護全般にわたる情報を共有・交換できる「全国医療情報プラットフォーム」の創設と電子カルテ情報の標準化を進めると共に、PHRとして本人が検査結果等を確認し、自らの健康づくりに活用できる仕組みを整備するほか、創薬のための医療情報の2次利用、診療報酬改定DXによる医療機関等の間接コスト等の軽減を進めるとした。
がん対策推進基本計画に基づき、適切な時機に癌遺伝子パネル検査の実施や小児癌治療薬へのアクセス改善などの癌対策を推進することも記載した。