厚生労働省医政局の城克文医薬産業振興・医療情報審議官は1日の参議院厚生労働委員会で、大手調剤薬局チェーンによる製薬企業の買収が医薬品の安定供給に及ぼす懸念について、専門家会合で議題とする考えを示した。星北斗議員(自民党)に対する答弁。
星氏は、調剤薬局チェーンのクオールホールディングスが第一三共から、後発品事業を行う第一三共エスファを買収予定としていることを念頭に、「大手薬局グループによる製薬企業の買収が行われた場合、薬局グループの優位性が高まり、他の薬局や医療機関に対する医薬品の供給体制が脅かされる懸念がある。安定供給の観点から、こうした懸念への対応策を検討すべき」と求めた。
これに対して、城氏は「買収は双方にとって様々な効果を期待して行われるものと承知しているが、安定供給への不安が起こり得る中ではグループへの安定供給への期待もあり得る」との見解を示した。
一方、「厚労省は在庫の偏在が生じないよう、広く医療現場に必要な医薬品が供給されるよう様々な取り組みを行ってきたので、製薬企業においても広く現場に必要な医薬品が供給されるよう適切な対応を行ってもらうことが望ましい」と述べた。
その上で、「医療関係者を含めた専門家の会議体で、川上から川下までサプライチェーン全体での医薬品供給や在庫状況の共有化に向けた検討を行うので、(星氏が)懸念する点についても、このような場で議論していきたい」と回答した。