答申は88項目で構成され、医療関係職種間のタスクシフト/シェア関連項目として、「在宅医療における円滑な薬物治療の提供」を盛り込んだ。
訪問看護STに配置可能な薬剤の対象拡大は、在宅業務に取り組む薬局の対応や、薬剤師、看護師などの現場ニーズを聞いた上で結論を得ることとなった。提案する日本看護協会の主張によると、在宅現場で患者急変の際には、看護師が訪問看護STから薬局まで、場合によっては24時間営業の薬局まで医師の指示に基づく薬剤を入手しなければならず、即時対応が困難となる事例があるという。
そこで同会議は、夜間・休日を中心に、在宅患者が必要な薬剤を得られていない実態を踏まえ、現場の医師、薬剤師、看護師、患者を対象に、課題の有無、課題が発生している地域や頻度を今年度から調査し、24年度に結論を得るとした。
薬局の24時間対応についても実態を把握する。地域連携薬局は24時間対応を認定要件の一つとしている反面、実際には夜間・休日に対応していないとの指摘がある。そのため、必要に応じて実態調査を行い、24時間対応が可能となるよう輪番制の導入や対応薬局の公表などについて、今年度中に結論を得る。
24時間対応可能な薬局が存在しない地域では、薬剤師や看護師等に課題把握を目的とした調査を行った上で、訪問看護STに必要な薬剤(最低限の数量に限定)を配置することについて、今年度から検討を始めて遅くとも24年度中に結論を得ることとした。
訪問看護STにおける配置薬剤の拡大をめぐって、日本薬剤師会は反対姿勢を示している。日看協が指摘している在宅患者に薬が届けられていないとの指摘に対しては、「医療関係職種間の連携不足が原因」とし、関係者間で連携を図ることで在宅患者への適切な薬剤提供につながると主張してきた。
しかし、日看協の要望や同会議における委員からの賛同意見等を踏まえ、結論を出す意思を明確化することとなった。今後、地域の薬局には休日・夜間、24時間対応がより迫られることとなり、薬局間連携を通じて、地域での薬局機能を補う仕組みが求められる。