政府の花粉症に関する関係閣僚会議は5月30日、花粉症対策の全体像を取りまとめた。発症・曝露対策として、舌下免疫療法に関する治療薬の年間供給量を現在の約25万人分から今後5年以内に4倍増とすること、同療法の普及に向けて医療機関等に協力要請することなどを示した。今年度から2025年度以降にわたって取り組む。
全体像では、花粉症対策を、▽発生源対策▽飛散対策▽発症・曝露対策――の3本柱で示した。発症・曝露対策では、花粉症の根治療法としてアレルギーの原因となるアレルゲン物質を薬にして定期的に投与することで、アレルギー発症を出にくくするアレルゲン免疫療法に言及。
このうち、18年に保険適用されたものの、数年にわたる治療や通院の必要性があるため十分に普及していない舌下錠を用いた舌下免疫療法について、治療薬の年間供給量を今後5年以内に、現在の約25万人分から約100万人分に増加させることとした。そのため、森林組合等への協力要請、増産に向けた企業への要請に速やかに着手する必要があるとした。
ただ、現時点では治療薬の供給に一定の限界があるとして、まずは花粉飛散開始に合わせて早期に対症療法を開始することが有効であるとした。
その上で、対症療法で効果が不十分な人には舌下免疫療法が推奨されることを周知すると共に、今後の治療薬増産を念頭に置きながら、舌下免疫療法のさらなる普及と適切な提供体制整備のため、学会等を通じた医療機関等への協力要請などに取り組む。
内閣官房長官を議長とする同会議は今年度に新設され、花粉症に対する予防・治療法の充実、発生源や飛散への対策を検討することとしている。