薬価改定については、改定率はマイナスとなっている一方、薬剤使用量の増加や新規医薬品の保険収載により薬剤費総額は拡大傾向とし、さらなる薬剤費の増加が見込まれるとした。
その上で、単価が高額な医薬品の収載が増えていることを背景に、「保険給付が現状のままでは保険料や国庫負担の増大が避けられない」とし、高額医薬品の保険収載については費用対効果評価で可否を決定するよう言及。
一方で高額な医薬品で有用性が低い薬剤は自己負担を増やすか、薬剤費の一定額までは自己負担とする方向性を提示した。
薬剤費については、中長期的に持続可能、負担可能なものにしていくために、総額自体を日本の経済規模の推移と整合を取ることに「一定の合理性がある」とした。民間団体から具体的な提案が出ていることを踏まえ、「関係者で建設的な議論が進展することを期待したい」との文言を盛り込んだ。
製薬業界に対しては、世界大手メーカーとの売上高の差やワクチン開発で海外メーカーに遅れを取ったことを教訓とし、競争力強化を促した。後発品の安定供給については少量多品種生産構造となっている産業構造の課題解消を求めた。
一方、リフィル処方箋の普及促進に向けては、医療費効率化効果が年間50億円程度にとどまる現状から、積極的な取り組みを行う保険者をインセンティブ措置により評価するよう提言。さらに薬剤師がリフィル処方箋への切り替えを処方医に提案することを評価する仕組みや、OTC類似薬については薬剤師の判断でリフィルに切り替えることを認めることなどを検討するよう迫った。リフィル処方箋による適正化効果が未達成であれば、年末の診療報酬改定でその分を差し引くことも検討すべきと提言した。
薬局に対しては、門前・敷地内に立地する薬局が大半で、総薬剤師数が増えているのに対し、薬剤師1人当たりの技術料水準は維持されていると指摘。対人業務へのシフトを進める中、多剤・重複投薬にかかる患者や医師との調整を評価する調剤報酬は「極めて少ない算定回数」と断じたほか、対人業務の評価体系の見直しも「既存点数の一部を表面上整理したことにとどまる」とさらなる適正化の必要性を示唆した。