政府の経済財政諮問会議は26日、民間議員が社会保障分野に関する提言を公表し、創薬力強化に向けた薬価算定のあり方見直しなどを求めた。新薬の薬価算定改善、特許期間中のさらなる薬価特例と同時に、長期収載品の負担や薬剤自己負担のあり方等の見直しも必要と訴えた。
諮問会議で民間議員は、重点課題である「医療・介護分野でのイノベーション創出に向けた環境整備」の一つに創薬力強化を挙げた。
具体的には、有効な新薬を創出する製薬企業が収益を上げ、その資金で次の新薬開発が進む好循環が必要と指摘。薬価改定では、新薬の薬価算定の改善や特許期間中のさらなる薬価特例など、新薬創出を強力に後押しすべきとした。同時に、長期収載品の負担や、その他薬剤自己負担のあり方など、保険制度の持続性確保に向けた見直しを進めるよう求めた。
諮問会議後の会見で、後藤茂之経済再生担当相は「薬価、創薬に関する問題で効率的な仕組みをどうするか議論を進めてきたが、骨太方針の取りまとめに向け、これらも議論していきたい」との考えを示した。
諮問会議の下部組織である経済・財政一体改革推進委員会の柳川範之会長も、同委員会の審議で有識者委員から示された社会保障関連の主な意見を公表した。
医薬品のあり方として、イノベーション推進と国民皆保険を両立させるためには薬剤費の無駄を省く必要があるとし、定額自己負担や給付率の柔軟化を進めることを求めた。給付範囲の見直しも重要とし、患者の負担額を緩和するため、保険併用外の選定療養を活用すべきとした。
OTC医薬品の購入と保険適用での医薬品処方とのバランスを考える必要がある必要もあるとし、薬剤自己負担のあり方の検討を急ぐべきとした。
薬局・薬剤師関連では、調剤の外部委託を進める必要があるとしたほか、重複投薬防止のため、かかりつけ薬局が機能することの重要性、タスクシェアについて薬剤師や医師等が職能の縦割りに陥らず、ある程度の職能の重なりを認めていくべきとした。