薬局における在宅患者訪問薬剤管理指導料の算定回数は横ばいだが、介護保険の「居宅療養管理指導」に関する算定回数は伸長している。
対象患者が要介護・要支援の認定を受けている場合は介護保険扱い、認定を受けていなければ医療保険扱いとなる。
安川氏は、「在宅患者訪問薬剤管理指導の大半は介護保険で支払われている。薬剤師が同じ行為を行った場合に、医療保険では手当てできるが、介護報酬では手当てできないというのは避けなければならない。同じようなサービスを同じように評価するのは同時改定だからできること」と意義を強調した。
具体的な例として、2022年4月の調剤報酬改定で「在宅患者医療用麻薬持続注射療法加算」が新設されたことに言及。同加算は、在宅患者訪問薬剤管理指導料が算定されていない場合は算定できず、居宅療養管理指導費が算定されていた場合は算定不可となっている。
安川氏は、「(在宅での薬剤管理指導が)介護保険で大半が支払われている実態面からすると、算定することは難しかった」とし、同時改定で整理したい考えを述べた。
また、薬剤師と介護専門員との情報共有によって患者の服薬状況を改善した場合の評価や、高齢者・障害者施設での薬剤管理などの評価体系も検討していく方針を示した。
認知症については「早期発見や認知症が分かった方に対しての医療・介護サービス、家族と連携しながらどういう服薬支援が必要なのか、薬剤師としてどう関わるかを考えないといけない」と語った。
診療・調剤報酬の評価に向けては、「薬剤師であれば、患者にどのような価値が提供できるか説明してほしい。そうすれば、中央社会保険医療協議会での議論の俎上に挙げられるかもしれない」と薬剤師に対して取り組みを呼びかけ、「薬剤師がやることを評価するのではなく、患者の薬物療法の質が向上することを評価することが本来の考え方になる」との姿勢を改めて説明した。