■安全対策には疑問の声
現行制度では、一般用医薬品の第1~3類はネット販売が認められているが、安全性上のリスクがより高い要指導医薬品は対面販売を原則とし、医療用医薬品では可能としているオンライン服薬指導も不可とされている。
この日の会合で新経済連盟事務局政策部の片岡氏が、要指導医薬品について、デジタル技術の活用により販売方法・購入方法の選択肢を増やし、多様な選択肢の中からニーズに合ったものを選べるようにすること、アクセス方法、専門家と購入者とのコミュニケーション方法の多様化を図ることが必要と主張。
その上で、要指導医薬品をネット販売した場合の流れを提案、説明した。
具体的には、特定の要指導医薬品の購入を希望する人は、医薬品販売店舗のサイトで販売ページを閲覧し、氏名や住所等の会員登録、医薬品ごとに薬剤師が設定した問診票に回答するなど注文手続きを行う。
注文した購入者に対して店舗がオンライン服薬指導の予約に関する案内を行い、患者が予約。予約日時に患者がシステムにログインしてオンライン接続し、服薬する人本人かどうかなど薬剤師による注文内容と必要事項の確認を行い、書面を用いて情報提供または服薬指導を実施する。対面販売の場合と同様、どの情報をどのように収集・確認するかは薬剤師の判断に委ねるとした。
薬剤師は販売可否を判断し、販売可能な場合は販売店舗から医薬品を発送するが、販売不可の場合は注文をキャンセルし、受診勧奨等を行う。販売店舗は販売記録を作成するが、購入者の氏名や連絡先の記録は努力義務とした。
提案内容について、鈴木匡委員(名古屋市立大学大学院薬学研究科教授)は、「安全確認期間中のものが要指導医薬品で、商品数も少ない。そのようなものにまで新しい販売方法を導入する必要があるのか、オンライン服薬指導してほしいとのニーズがあるのか非常に疑問」と指摘。
森昌平委員(日本薬剤師会副会長)は、「需要者のニーズは非常に重要だが、医薬品は安全性が担保されて初めて需要者のニーズに応えられるので、逆になってはいけない」とし、宮川政昭委員(日本医師会常任理事)も「安全対策が具体的に見えてこない」と率直に述べた。
現時点で検討している安全対策として、片岡氏は「販売後の情報収集が必要なので、医薬品メーカーと協力し、購入者全員にアンケートを送り、回答してもらった上で安全対策を考えたい」と応じた。