若年女性で話題の”シンデレラ体重”、BMI18を理想とする低体重で健康リスク懸念
藤田医科大学は5月15日、同大教職員のうち若年かつ低体重を認める健康診断受診者44人に対して、栄養評価を行った結果を発表した。この研究は、同大臨床栄養学講座の飯塚勝美教授、健康管理部の成瀬寛之教授らの研究グループによるもの。研究成果は、「Nutrients」オンライン版に掲載されている。
若い女性の間で、SNSを通じて「モデルのように美しく見える体重」いわゆる”シンデレラ体重”が話題になっている。シンデレラ体重とはBMI18を理想とする体重のことで、一般的に低体重にあたる。低体重の健康リスクとして、不妊、骨粗鬆症、耐糖能障害、低出生体重児、免疫力の低下、低体温などを引き起こすことがある。しかし、低体重のみで病院を受診することは少ないため、これまでその実態は明らかになっていなかった。
今回の研究では、藤田医科大学の教職員(20~39歳女性1,457人)のうち、若年かつ低体重(BMI<17.5)を認める健康診断受診者44人に対して、栄養評価を行った。
血中プレアルブミン、リンパ球、コレステロール濃度「低」、栄養状態悪化を示唆
今回の健康診断での低体重が占める比率は、20~39歳の女性で16.8%、20~39歳の男性で4.5%と女性で多い結果となった。若年低体重女性の特徴としては、握力低下、コレステロール低下(59%)、リンパ球数低下(32%)、プレアルブミン低下(34%)など、栄養マーカーの低下が挙げられた。
次に、低体重に関して二次健診を行い、栄養評価外来を受診された教職員44人についてさらに調べた。その結果、血中プレアルブミン、リンパ球、コレステロール濃度が低く、栄養状態の悪化が示唆された。食事内容では、食物繊維を含めた炭水化物、鉄分、カルシウムの摂取の低い方が9割程度見られたとしている。ビタミンD欠乏(98%)、ビタミンB1欠乏(4.6%)、ビタミンB12欠乏(20%)、葉酸欠乏(14%)が見られた。
若年女性、低栄養に関する全国的な調査が必要
若年女性は今後、妊娠出産の可能性があり、低体重のもたらす健康リスクを再度周知する必要がある。特に、一人暮らしの場合では魚料理や野菜の摂取が不足がちになるので、魚(ビタミンB12、ビタミンD)や野菜(食物繊維や葉酸)などを豊富に含む食事を推奨するなど、食生活に関する啓発を合わせて行う必要があるという。研究グループは今後、過去から遡って栄養障害を伴う低体重の頻度を調査し、環境要因の寄与を明らかにするとしており、同時に、若年女性の低栄養に関する全国的な調査が必要と考えられる、と述べている。
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・藤田医科大学 プレスリリース