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若年性皮膚筋炎、血中タンパク質プロファイルが症状・病態を反映-千葉大ほか

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2023年05月18日 AM11:27

小児自己免疫疾患JDM、病態に関わる分子の詳細は不明だった

千葉大学は5月16日、子どもの希少免疫疾患「)」の症状や病態と関連するタンパク質の特徴を明らかにしたと発表した。この研究は、同大大学院医学研究院の佐藤裕範特任助教、井上祐三朗特任准教授らの研究グループと、かずさDNA研究所、北海道大学、、京都府立医科大学との共同研究によるもの。研究成果は、「Rheumatology」に掲載されている。


画像はリリースより
(詳細は▼関連リンクからご確認ください)

小児の希少免疫疾患であるJDMは、筋・皮膚病変や肺合併症など多彩な症状をきたす自己免疫疾患。日本国内では10万人あたり約1.7人が発症するとされるまれな疾患だ。近年、多くの筋炎特異的自己抗体(MSA)の発見によって、これらの症状がMSAによって特徴づけられることが明らかとなった。日本人のJDM患者の約90%は、MSAのうち抗MDA5抗体、抗NXP2抗体、抗TIF1-γ抗体のいずれかの抗体を持つとされるが、これまで病態に関わる分子の詳細な分析についてはほとんど報告がなかった。

病態の解明やバイオマーカーの開発技術として、臨床試料を用いたプロテオーム解析が注目されている。研究グループは今回、最新鋭の質量分析計と高い解析技術を搭載した「高深度プロテオーム解析法」を用いてJDM血清中のタンパク質を網羅的に分析し、MSAのタイプ別に異なる発現をもつタンパク質プロファイルの特徴を明らかにすることを目的に研究を行った。

患者血清中に、自己抗体の種類により異なるタンパク質があり臨床的特徴を反映

多施設共同研究として行われた同研究では、治療介入前のJDM患者15人(抗MDA5抗体陽性5人、抗NXP2抗体陽性5人、抗TIF1-γ抗体陽性5人)と健常者5人の血清を分析。検出されたタンパク質発現量の比較統計解析を行い、MSAに特徴的に変化するタンパク質グループの同定と、病態に関わるパスウェイ解析を行った。

その結果、JDMの末梢血中で増加しているタンパク質群の中には共通したタンパク質が多く含まれている一方で、各MSAで個別に異なっているタンパク質の種類や発現量がそれぞれの臨床的特徴を示すタンパク質プロファイルを構成していることが明らかとなった。

血液中の詳細なタンパク質分析が、病態理解に有用な可能性

特に、発熱や倦怠感が出現しやすい抗MDA5抗体陽性JDMでは、炎症や全身症状を引き起こしやすいインターフェロン活性や、免疫プロテアソームに関わるタンパク質が増加しており、筋力低下や筋痛などの筋炎症状をきたしやすい抗NXP2抗体陽性JDMでは、他の群よりも多くの筋肉の酵素タンパク質が増加していることが判明した。このように、全身を流れる血液中の詳細なタンパク質分析を行うことで、実際の症状に関連するどの分子が増加しているのかを知ることができるという。

分子療法の適用や個別化医療の実現に期待

今回のような方法で、発現タンパク質を詳細に解析し、病態理解することは、疾患の予後予測や治療戦略を立てる際に非常に重要だ。MSAの病態に関連する重要な分子を同定することで、将来的に分子療法の適用や個別化医療の実現に近づく可能性がある。

「治療標的や新規バイオマーカーの検討を行うためには、さらにサンプル数を増やした解析や、合併症などの異なる視点に注目した解析をすすめていく必要がある」と、研究グループは述べている。

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