小野薬品は10日、大阪市内で開いた決算説明会で、非小細胞肺癌患者を対象とした医師主導治験で、オプジーボを含む併用療法による治療関連死の割合が約7.4%と報告されたことへの見解を示した。企業治験のほか、市販後に企業主導で実施した臨床研究では同割合は約2%であると報告し、これまでと同様に適正使用を推進する考えを強調した。
医師主導治験はオプジーボとヤーボイ、化学療法の併用療法と、キイトルーダと化学療法の併用療法について、どちらを第一選択とするかを評価するために国立がん研究センターと日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG)が実施したもの。
未治療進行・再発の非小細胞肺癌患者295人のうち148人にオプジーボを含む併用療法を実施し、このうち治療との因果関係を否定できない死亡者が11人出た。死亡者の割合が予期していた5%を超えたことから試験は3月末に中止された。ヤーボイの影響による可能性が高いとされ、研究グループはオプジーボ単剤の治療継続を推奨している。
執行役員営業本部長兼プライマリー統括部長の高萩聰氏は、自社で把握する同併用療法のデータを紹介。治療との因果関係を否定できない死亡率は企業治験で2%、市販後に実施した企業主導の臨床研究で2.8%、小野とブリストル・マイヤーズスクイブで収集した安全性データで2.3%であるとし「約2%が同併用療法の現状の死亡率と考えている」と話した。
今後、オプジーボ単剤による治療のほか、ヤーボイとの併用療法についても従来通りの情報提供活動を継続する方針。
医師主導治験で報告された死亡例についてはJCOGの協力を得て詳細を調査する予定だ。