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【薬卸連が提言】レポートライン構築を-収益性要因の薬不足懸念

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2023年05月08日 AM10:50

日本医薬品卸売業連合会は4月27日、国際委員会がまとめた「医薬品のグローバルサプライチェーンと日本における安定供給のリスクについて」に関する報告書を公表した。欧米の医薬品不足の現状と対策を調査・報告すると共に、日本の安定供給に関して、▽欧米同様に収益性が医薬品不足の要因となることを認識し、全ての医薬品の安定供給を見据えた恒久的な薬価制度の構築▽レポートラインの構築(不足医薬品の情報一元化の仕組み作りについての本質的な検討)▽医薬品卸企業の役割の評価(卸が医薬品供給の持続性に寄与していることを十分考慮した社会・経済上の制度へ)――が望まれると提言した。

国際委員会の眞鍋雅信委員長(ほくやく社長)は、調査の結果として、▽欧米における医薬品不足の原因として最も著しいのは収益率の低い製品が不足する傾向があることを指摘している▽欧米とも医薬品不足を経済安全保障の問題として捉え、政府が医薬品不足のレポートラインを設置、管理している▽製薬産業に対する価値観としては、産業としてはもとより経済安全保障上重要な産業であると位置づけて政府全体で対応――との状況が明らかとなったことを説明した。

その上で、国際委員会の提案として3点を挙げた。第1に、医薬品不足発生を防ぐ観点から薬価制度見直しの必要性を訴えた。欧米では低収益性製品からの製造撤退が根本原因の一つ。日本では製造品質基準逸脱による出荷停止措置に起因するが、収益性を要因とする医薬品不足は十分あり得ることを認識し、後発品を含めた全ての医薬品の安定供給を見据えた恒久的な薬価制度の構築が望まれると指摘した。

今後の医薬品不足発生への対応としては、不足医薬品の情報一元化の仕組み(DX・情報システムによるサプライチェーンの見える化)作りについて本質的な検討が望まれるとした。

2月時点での出荷調整品目数が取り扱い品目の5割超に達している現状も踏まえ、医薬品供給の持続性に寄与している医薬品卸の役割を評価し、十分考慮した社会・経済上の制度にしていくことを提言した。

眞鍋氏は、「これを一つのきっかけとして、医薬品安定供給が国民の生命と財産を守る経済安全保障上のインフラであることについて、関係者の活発な議論を望む」と述べた。

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