飢餓の際に無駄なカロリー消費を減らし食欲を増やす仕組み、詳細は不明
東北大学は4月28日、マウスを用いて、飢餓の際に必要以上のカロリー消費を抑え食欲を高めることで生命を守る仕組みを発見し、この仕組みに肝臓が非常に重要な役割を担っていることを解明したと発表した。この研究は、同大大学院医学系研究科糖尿病代謝内科学分野の高橋圭助教(兼 東北大学病院糖尿病代謝科)、片桐秀樹教授、東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科分子内分泌代謝学分野の山田哲也教授、山形大学医学部内科学第二講座の上野義之教授、東北大学大学院医学系研究科消化器病態学分野(兼 東北大学病院消化器内科)の正宗淳教授らの研究グループによるもの。研究成果は、「Cell Reports」にオンライン掲載されている。
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生物は食べ物が足りない状況になると、無駄なカロリーの消費を減らしたり、食欲を増やしたりして生命を維持する。しかし、どのような仕組みでこのような反応が生じるのかは、十分にわかっていなかった。
カロリー減少をインスリン低下から感知した肝臓が、sLepRを放出し食欲増やす
食べ物を食べると膵臓からインスリンというホルモンが血液中に分泌される。食べ物が足りない場合はこの逆で、インスリンの分泌が減り血液中のインスリン濃度が低下する。研究グループは、肝臓がこのインスリン濃度の減少を感知し、sLepRというタンパク質を血中に放出することを見出した。さらに放出されたsLepRが、レプチンという血液中を流れるホルモンを捕捉して、レプチンが有している「カロリー消費を亢進したりする働きや食欲を抑制する働き」を止めることにより、カロリー消費を抑え、食欲を増やしていることを発見した。
sLepRを分泌できないマウス、カロリー消費を節約できず生命が維持できない
さらに研究グループは、食物の摂取が不足した際の生命の維持において、重要な役割を果たしていることを予想して、sLepRを分泌できないマウスを作成した。すると肝臓からのsLepRの分泌がなくなると、食物摂取不足の状態になってもカロリー消費が節約できず、その結果、生命が維持できなくなった。つまりカロリー摂取の減少を肝臓が感知して生命を守る信号を送っているという、これまで知られていなかった仕組みを解明することができた。
糖尿病患者の血糖値が高い時にもsLepR増加、食欲亢進の要因となる可能性
さらに、この肝臓から分泌されるsLepRの血液中の濃度は、糖尿病患者において血糖値が高い時にも増加していることを見出した。肝臓でのインスリンの効きが悪くなると血糖値が上昇するが、この仕組みがsLepRの血液中の濃度を上げてしまうと考えられた。
さらに、この肝臓から分泌されるsLepRの血液中の濃度は、糖尿病患者において血糖値が高い時にも増加していることを見出した。肝臓でのインスリンの効きが悪くなると血糖値が上昇するが、この仕組みがsLepRの血液中の濃度を上げてしまうと考えられた。
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