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循環器、固形腫瘍、血液腫瘍、イムノロジー、中枢神経に注力-ノバルティス、レオ・リー社長が会見

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2023年05月08日 PM02:00

放射線リガンド療法の導入をサポート

ノバルティスファーマ社長のレオ・リー氏は2023年3月24日の会見で「循環器、固形腫瘍、血液腫瘍、イムノロジー、中枢神経の5つの疾患領域に力を入れていく」と強調した。5領域の国内開発パイプラインとしては、全体で約40プロジェクトが進行しており、このうち第3相臨床試験の段階にあるのは18プロジェクト、承認申請中が4プロジェクト。2023年中に7製品の承認を目指しているという。


レオ・リー社長
(ノバルティスファーマ提供)

会見でリー氏は、「5領域は日本で社会的負担が大きく課題となっている」として、課題解決に向けた意欲を表明。「低分子化合物、生物学的製剤、核酸医薬、放射性リガンド療法、遺伝子・細胞治療を5領域に適用し、価値の高い革新的医薬品の開発と提供を行う」と発言した。2020年時点では低分子化合物が売上の7割超を占めていたが、2030年には生物学的製剤、核酸医薬品、、遺伝子・細胞療法で5割を超えるだろうと推定しており、開発・製造技術の向上に取り組むとしている。

このうち放射線リガンド療法については、「周囲の組織へのダメージを抑えながら標的細胞に放射線を届けるプレシジョンメディシン(精密医療)の1つであり、診断と治療の両方に使うことができる画期的な技術だ」と説明。効果や安全性が高い一方で、国民の多くは放射線に抵抗を感じており、認知度が低いと問題視した。患者のアクセシビリティも課題だとして、多くの病院で導入が進むようサポートする必要があると述べた。

医薬品開発への患者介入を進める

医薬品開発については早期から患者と協業していくとしている。「患者からの情報提供をもとに関連する評価指標を策定」「臨床試験プロトコル作成への患者の声の反映」「患者視点を反映した製品計画の実施」を掲げ、「疾患啓発施策立案や医薬品アクセスについても患者が役割を担える体制を目指していく」と発言。患者団体とステークホルダーが一同に会して医療課題を議論する場を提供しており、患者団体のヘルスリテラシー向上にも寄与しているとした。

会見はまた、循環器疾患の疾病負担軽減を目標に四国地方でポピュレーション・ヘルス・マネジメントアプローチを用いた産官学連携に取り組んでいることも説明。具体的には、循環器疾患予防啓発・情報発信や循環器疾患重症化予防事業、地域医療ネットワーク強化を実施しているとした。このほか、長崎県で地域医療連携ネットワークのあじさいネット、疾患管理システムの提供を行うインテグリティ・ヘルスケアと循環器疾患コントロールのためのクリニカルパスを開発しており、急性心筋梗塞後の患者を対象とした「長崎急性心筋梗塞二次予防クリニカルパス」機能をデジタル化したと報告した。

リー氏は、医療従事者をサポートする重要性も強調。医療従事者の人手不足、患者数の増加、医薬品の最新情報の収集などによる負担の大きさや医師の働き方改革の施行(2024年)を踏まえ、MR/MSLによる対面での情報提供のみならず、リモートで疾患情報を提供する60人のデジタルコミュニケーターの配置、オムニチャネルの推進を行っていることを紹介した。デジタルコミュニケーターの配置は業界最大規模で、医師が都合の良いタイミングで電話やビデオを活用してアクセスすることが可能だという。

2022年売上は3,169億円、売上1位はレボレードで288億円

2022年の国内売上実績は薬価ベースで3,169億円(前年比1.1%減)だった。売上上位10製品は以下の通り。
(血小板減少症/再生不良性貧血治療薬、288億円)
(慢性心不全/高血圧症治療薬、280億円)
(糖尿病治療薬、257億円)
(抗悪性腫瘍剤、205億円)
(眼科用VEGF阻害剤、181億円)
(抗悪性腫瘍剤、179億円)
・エクア(糖尿病治療薬、161億円)
・グリベック(抗悪性腫瘍剤、137億円)
(抗悪性腫瘍剤、133億円)
(免疫抑制剤、104億円)

(QLifePro編集部)

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