新型コロナ流行が親子の生活と健康に与えた影響、小中学生と保護者で調査
国立成育医療研究センターは4月25日、小中高生とその保護者を対象に3回実施した「新型コロナウイルス感染症流行による親子の生活と健康への影響に関する実態調査」の報告を経時的にまとめ、その結果を発表した。この研究は、同センター研究所 社会医学研究部 森崎菜穂部長らの研究グループによるもの。
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同調査は、層化二段無作為抽出法により、全国50自治体から選ばれた小中高生の子どもとその保護者を対象に調査票を郵送し、2020年12月、2021年12月、2022年10月に実施した。なお、2020年度は小学5年・中学2年、2021年度は小学5年~中学3年、2022年度は小学5年~高校1年を対象とした。
向社会性は各学年で改善、仲間関係など総合的な困難さは改善見られず中3では悪化
調査の結果、協調性や共感性などの向社会性を表す指標については、小学5年~中学3年までの各学年において、2021年と比べて2022年の調査では改善が見られた。一方で、仲間関係・多動/不注意・情緒・行為の問題を含む総合的な困難さについては、小学5年・中学1年では改善が見られるも、中学3年では悪化するなど、全体では改善が見られなかった。
抑うつ傾向・孤独感、保護者は一部の学年で改善するも子どもは改善認めず
中等度以上の抑うつ傾向は、子どもでは全体に占める割合が2021年は11%、2022年は13%と改善は見られなかった。しかし、保護者では2021年が40%、2022年が28%と改善が見られた。
子どもの孤独感を表す指標、肯定的な未来志向に関する指標については、2021年と2022年で統計学的に有意な変化はなかった。また、保護者については小学6年~中学2年の各学年で、心の状態を表す指標の改善が認められた。
平時から同様の調査を継続的に行い、子どもにとって最善の環境が整えていくことが大切
同調査は、コロナ禍の3年間継続された。しかし、例えば抑うつ傾向などに関する調査はコロナ前にはあまり行われておらず、比較できる調査がなかったという。子どもの心身の健康は、新型コロナウイルスなどのように社会的な事象に大きな影響を受けるため、その事象によって子どもたちの状態がどのように変化したのかをしっかり分析していくことが重要だ。そのためには、平時から同様の調査を継続的に行ってデータを蓄積し、それを社会に還元することで、子どもにとって最善の環境が整えられていくことが大切だと言える。
「本調査の実施にあたりさまざまな協力を得た。今後も調査実施の支援者たちと調査回答者がいる限り、本調査を継続して実施していきたいと考えているので、引き続き支援をお願いしたい」と、研究グループは述べている。
なお、「新型コロナウイルス感染症流行による親子の生活と健康への影響に関する実態調査報告書(2020-2022)」の全文は国立成育医療研究センター「コロナ×こども本部」のページで公開されている。
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・国立成育医療研究センター プレスリリース