大量飲酒が腎機能に及ぼす影響はほとんど評価されていなかった
大阪大学は4月24日、1日あたり日本酒3合相当(アルコール約60g)以上の大量飲酒は、男性の腎機能低下のリスク因子であることを明らかにしたと発表した。この研究は、同大キャンパスライフ健康支援・相談センターの山本陵平教授らの研究グループによるもの。研究成果は、「Nutrients」に掲載されている。
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これまで1日あたり日本酒1合相当(アルコール約20g)の飲酒者は腎機能の低下リスクが低いことが知られていたが、大量の飲酒が腎機能に及ぼす影響については少数の小規模研究で相反する結果が報告されており、一定の見解が得られていなかった。
そこで研究グループは今回、18都道府県の40~74歳の特定健診受診者30万4,929人の腎機能(推算糸球体濾過量)の変遷を中央値2.9年間追跡した。
男性の腎機能低下リスクは、時々飲酒<ほとんど飲まない/大量飲酒
男性12万5,698人の1年あたりの腎機能低下(mL/分/1.73m2/年)は、初回健診時に時々飲酒すると回答した男性と比較して、ほとんど飲まない男性と1日あたり日本酒3合相当(アルコール約60g)以上の男性で有意に大きく、30%以上の腎機能低下のリスクも同様の傾向が認められた。
一方、女性17万9,231人では、飲酒量と腎機能低下の明らかな関連は認められなかったという。この結果に対し、研究グループは、女性では飲酒者が著しく少ないことがその一因かもしれないとの見解を示している。
適度な飲酒の推奨が生活習慣病や腎臓病の予防につながる可能性
今回の研究成果により、1日あたり日本酒3合相当(アルコール60g程度)の大量の飲酒が、男性における腎機能低下のリスクであることが示された。一方、日本酒1合相当(アルコール約20g)の適度の飲酒が腎機能低下を予防する可能性が改めて確認された。
「適度な飲酒を推奨することによって、さまざまな生活習慣病のみならず、腎臓病の予防、さらには増加の一途をたどる透析患者数の減少につながるかもしれない」と、研究グループは述べている。
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