加藤勝信厚生労働相は19日の衆議院厚生労働委員会で、処方箋医薬品以外の医療用医薬品の販売(零売)について、禁止する法律上の規定はないとの見解を示した。池下卓議員(日本維新の会)の質問に対する答弁。池下氏からは、厚労省通知で運用している現状に対して「行政権の濫用により規制強化に向けた動きをしている」との厳しい指摘も出た。
零売をめぐっては、2014年に発出された厚労省医薬食品局長通知に基づき、薬局では処方箋に基づく薬剤の交付を原則とし、やむを得ない場合に零売として販売することを認めている。
池下氏は、同通知について、「零売も処方箋医薬品に入れ、同じルールを原則とするのが筋だ。全て処方箋医薬品としてしまえば何も問題が起こらないはずなのに、通知で奇々怪々なものを出しているのは理解できない」と指摘し、零売の法的根拠などを質した。
これに対して、加藤氏は「処方箋の交付を受けた人以外の人に対する販売・授与を禁ずる法律上の規定はない」と回答。厚労省の「医薬品の販売制度に関する検討会」で零売のあり方を議論していることを踏まえ、「法令上の位置づけも含めて関係者から意見を聞き、検討を進めていきたい」と述べた。
加藤氏の回答を踏まえ、池下氏は「法的根拠がないことがうやむやになっていることが問題だ。現行法を改正することなく、行政権を濫用することで規制強化に向けた動きをしているのではと危惧する」と懸念を示した。
その上で、学会の専門医の意見を踏まえて零売の一部品目を処方箋医薬品に指定することや、「通知等で抽象的な表現を繕うのではなく、『要薬剤師薬』として薬剤師の適切な管理のもとで処方されるべき」との考えも示した。
しかし、本田顕子厚労大臣政務官は、要薬剤師薬に対して「薬剤師は処方権を持っていないので、それはできない」と一蹴。「やむを得ない場合、どうしても急を要する場合は専門家として販売することが、非常にグレーだが、薬剤師が現時点でできること」との回答にとどめた。
「副作用の強いステロイド点眼薬が処方箋なしに販売されている事態は非常に危惧している。適切な販売がなされるよう検討会で整理されれば」との考えも示した。