高身長の原因となるAIP遺伝子とGPR101遺伝子異常、しかし原因不明の患者は多い
国立成育医療研究センターは4月20日、高身長症を招く新たな遺伝病を発見したと発表した。この研究は、同センター分子内分泌研究部の深見真紀部長、福井由宇子特任研究員、服部淳研究員、張若谷共同研究員と、システム発生・再生医学研究部の高田修治部長、市立美唄病院の松浦信夫医師らとの共同研究によるもの。研究成果は、「Human Molecular
Genetics」にオンライン公開掲載されている。
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これまでに、成長ホルモンが過剰に分泌されて高身長となった患者でAIP遺伝子とGPR101遺伝子の異常が同定されている。しかし、これらの異常が見つからない原因不明の患者も多くいる。
20番染色体の微細欠失<GHRH/TTI1融合遺伝子<成長ホルモン分泌増加
そこで研究グループは今回、成長ホルモンが過剰に分泌されて197.4cmの高身長となった女性患者の遺伝学的解析を実施。その結果、20番染色体に752kbの微細な欠失を検出した。
さらに、欠失により成長ホルモンの放出を促進させるホルモン遺伝子(GHRH遺伝子)に、TTI1という別の遺伝子が結合していることが判明。患者体内でTTI1とGHRHが結合した「融合遺伝子」が作られていることが明らかになった。これにより、本来発現していないいろいろな臓器でGHRHが発現するようになったと考えられるという。
マウスに20番染色体欠失を導入、過成長を確認
ゲノム編集によってマウスに患者と同じ染色体欠失を導入したところ、モデルマウスは過成長を示し、この欠失が疾患原因であることが確認された。
内分泌疾患の新たな原因の発見は、高身長患者の診断に役立ち、また、ホルモン過剰産生による他の原因不明の疾患の病態解明にも役立つことが期待されると、研究グループは述べている。
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・国立成育医療研究センター プレスリリース