調査は、3月7~31日までにNPhA正会員101社1万0590薬局を対象に実施した。オンライン資格確認システムが稼働している薬局は95.5%、電子処方箋の受付を開始している薬局は10.7%、電子処方箋の受付実績があるのは19薬局だった。電子処方箋対応のシステム改修を完了している薬局は16.3%あった。
厚生労働省が2日時点で公表した電子処方箋対応薬局数は2418薬局あり、NPhAの調べでは「300薬局以上の薬局グループ」が67.5%を占めるなど規模が大きい薬局から導入が進んでいるようだ。
好事例は少ないものの、「医師が処方設計の際に重複チェックを確認し、重複であっても必要性があって処方している旨を医師コメントに記載しているケースがあり、疑義照会を回避した事例もあった」とした。
電子処方箋対応に向けた計画を聞いたところ、101社のうち87.1%の企業が将来的にほぼ全薬局において電子処方箋に対応すると回答し、75社が2023年3月末までに順次運用を開始すると回答した。
電子処方箋を導入する際の課題については、「導入・運用コスト」が最も多く、79社が回答。次いで「システム改修および設置作業」「HPKIカードの申請と運用」「医療機関の意向」「患者の理解」などが挙げられた。中でも「医療機関の意向」については、電子処方箋発行の予定や意向がある医療機関が8.3%にとどまるなど、国による普及に向けた政策の必要性が示された。
電子処方箋への期待に関しては、「重複・併用禁忌チェック」「業務の効率化」「入力ミス減少」「サービスの質向上」「医療機関との情報連携の質向上」の順で多かった。
一方、電子処方箋に関連した各種サービスの導入状況も調査した。全薬局のうち、処方箋画像送信サービスは95.5%、オンライン服薬指導は87.4%、電子版お薬手帳は67.9%とICTを活用したサービス導入が進む一方、マイナポータル連携ができる電子版お薬手帳は13.6%にとどまった。サービス導入費用が高いことなどが課題として指摘されている。
デジタル推進委員会の石井僚特任部長は13日の記者会見で、会員企業の電子処方箋の対応状況について「悪くない」と述べた上で、「HPKIカードが届かない事例やオン資の整備でベンダーの電子処方箋対応が遅れている実態があるが、薬局は順次整備が進んでいる」との感触を示した。