政府は、2023年度から6年間の「第4期がん対策推進基本計画」を閣議決定した。癌予防、癌医療等の分野ごとに現状や課題、取り組むべき施策を示し、薬物療法については、高度な薬物療法を地域や医療機関で偏りなく提供すること、科学的根拠に基づいた治療法の情報提供などに取り組むとした。
薬物療法の分野では、癌に関する専門的な知識を持つ医療従事者の配置について、地域間、医療機関間での差の改善が必要として、国や都道府県が高度な薬物療法の提供を含めて、医療機関間の役割分担、連携体制の整備等の取り組みを進めることとした。
薬物療法に関する知識の普及については、ガイドラインの数が増加しており関係学会等によりエビデンスを活用しやすい環境整備が進められている一方で、インターネット上では科学的根拠に乏しい情報が多く見られている。この現状を踏まえ、国立がん研究センターや関係学会と協力し、国民が薬物治療に関する正しい情報を得ることができるよう、科学的根拠に基づく治療法に関する情報提供・普及啓発を推進する。
小児癌対策では、治療薬の候補が見つかっても保険診療下で使用できる薬が少ない、参加可能な治験が少ないなど薬剤アクセスの改善が課題となっていることを受け、研究開発を推進する。日本の薬事規制等の海外の中小バイオ企業に対する周知を通じ、国際共同治験への参加を含め、日本での早期開発を促すなど治験の実施を促進する方策を検討する。
癌予防の分野では、ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンの接種状況と子宮頸癌の罹患率の国内外における推移を把握し、科学的根拠に基づく子宮頸癌対策を推進するとした。今年度から始まった9価ワクチンの定期接種化を含む接種対象者に対して、適切な情報提供に基づく正しい理解の促進に取り組む。
社会連携に基づく緩和ケア等の癌対策・患者支援で、癌の拠点病院に対しては、地域包括ケアシステムの仕組みも踏まえつつ、地域の実情に応じて薬局との連携や困難事例等への対応に取り組むことを実施すべき施策として挙げた。