同学会は今回、▽後発品の使用促進の数量目標の廃止と品質・安定供給策への転換▽薬価差のさらなる解消▽流通改善ガイドラインの遵守▽バイオシミラーのさらなる普及▽都道府県別フォーミュラリの導入――の五つの提言を行った。
後発品の数量シェア目標の設定と医療機関・薬局への診療報酬上のインセンティブによる普及策は、既に限界にあると指摘。現行の目標は維持するとしても、24年度以降は、新たな数量シェア目標を設定することは行わないよう提言した。数量シェア目標に代えて、個別具体的な後発品の品質管理・製造管理、安定供給の推進と実現を目標とするよう求めた。
診療報酬・調剤報酬上のインセンティブでは後発品調剤体制加算を廃止し、逆に80%に使用割合が達しなかった場合の減算措置を別途導入する一方、品質管理・製造管理、安定供給に取り組んでいる企業等を評価する加算制度の創設を求めた。
同一成分に多数の後発品メーカーが参入し、過当競争にならないよう先発品1品目に対して保険収載できる後発品の品目を各社の製造能力・製造計画に応じて限定することも提案した。
先発品に比べ大きい後発品の薬価差の解消に向けては、同種同効薬のグループに対して後発品の価格を標準価格とする参照価格を設定し、その価格を超えた場合は患者自己負担とする参照価格制の導入を要求。
諸外国では、医師が調剤することのない完全医薬分業であることから、医療機関での薬価差益が生じないようにするためにも、将来的には医師が調剤することを禁止する外来診療の完全医薬分業を訴えた。行き過ぎた薬価差を国に返納するクローバック制度の導入も提言した。
また、総価取引による後発品の値引きが課題とし、流通改善ガイドラインの遵守を求めた。高額なバイオ医薬品や再生医療等製品と後発品を同じカテゴリーで流通すること自体を見直す必要があることから、医薬品カテゴリー、地域差、配送コストに応じた流通コストの導入も必要とした。
一方、地域フォーミュラリの活用は今後の後発品の品質確保と安定供給に欠かせないとし、24年から開始される新たな第4期医療費適正化計画に都道府県別フォーミュラリの導入を提案した。
バイオシミラーの推進については、普及目標を医療費節減効果額で提示し、バイオシミラー製造企業などの育成に加え、高額療養費、公費負担で普及が進まない品目については、患者の自己負担額を減免することで普及を促すべきとした。