厚労科学研究班がまとめた「特定臨床研究で得られた情報の薬事申請における活用に関する検討」の報告内容を公表したもの。それによると、臨床研究法とGCP省令を比較し、同法では試験実施に必要な検査の精度管理等を保証する記録の確認・保存に関する規定が存在しないとした。
特定臨床研究と先進医療Bで実施される試験の対象疾患も調査し、悪性腫瘍、神経疾患、循環器疾患の順に多かったが、その多くが治験につなげるための探索的な試験にとどまった。
一方、乳癌に対して既承認の抗悪性腫瘍剤「S-1」を用いて実施した特定臨床研究(POTENT試験)の成績が申請に活用できるか検討したところ、信頼性の水準、論文化の状況を満たしているとし、活用可能とした。
これらを踏まえ、特定臨床研究の試験成績を申請資料に活用する際に考慮すべきことをまとめた。
既承認薬を用いることとし、再審査期間中であれば先進医療Bで評価された特定臨床研究で有用性が確認され、試験結果が国際的に評価の高い医学誌に掲載されていることとした。
特定臨床研究の実施体制として、事務局、データセンター、監査・モニタリング部門等が独立して機能し、各部門が相当の実績を有していること、試験成績を承認資料として活用する可能性について予め説明し、同意を得ていることなどが必要とした。
また、試験計画の立案段階で、試験結果を申請に活用することを前提とする場合は、悪性腫瘍、神経疾患、内分泌疾患、自己免疫疾患、小児疾患、これらの疾患でも希少なもの、企業主導の治験実施が困難である小児疾患全般、急性期疾患等については、特定臨床研究で得られた成績の申請への活用が望ましいとした。
これらを踏まえ、厚労省は「治験と同程度の信頼性が確保されている場合や改めて治験の実施が困難な場合等の限定的な状況において限定的に申請に利用できる」との見解を示した。