膵臓がんは早期発見が困難で、診断に高度な専門知識が必要
富士フイルム株式会社と神戸大学は4月4日、AI技術を活用し、腹部の造影CT画像から膵臓がんが疑われる所見の検出を支援する技術を共同で開発したと発表した。
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膵臓がんは早期発見が難しく、腹痛や体重減少などの自覚症状が現れた段階では、周辺組織への浸潤を伴う進行がんとなっているケースが多いため、がんと診断されてから5年後の相対生存率は12.5%と、がんの中で最も低い。また、膵臓がんによる国内死亡者数は年々増加傾向にあり、2020年には3万7,000人を超えて、肺がん、大腸がん、胃がんに次いで第4位となっている。
予後を改善するためには早期発見が極めて重要だが、初期の小さながんは画像検査で描出されないこともあるため、膵臓がんの直接所見である腫瘤だけでなく、膵臓の萎縮や膵管の拡張・狭窄などの間接所見にも着目することが重要だ。しかし、膵臓は形状が複雑で解剖構造の把握も他の臓器に比べて難しいため、膵臓がんの診断には高度な専門知識を要するという課題がある。
1,000症例の腹部造影CT画像、AI学習で膵臓がんが疑われる所見検出の技術開発に成功
両者はCT画像から膵臓がんの早期発見を支援するAI技術の開発を目指し、2021年8月より、神戸大学大学院医学研究科の児玉裕三教授と村上卓道教授を中心としたチームのもとで共同研究を進めている。
今回、膵臓がん患者を含む約1,000症例の造影CT画像をAIに学習させ、腹部の造影CT画像から膵臓がんが疑われる所見を検出する技術の開発に成功した。同技術は膵臓がんの直接所見である腫瘤のみならず、間接所見である膵萎縮・膵管拡張・膵管狭窄などを検出可能。同技術を活用して医師の負担を軽減することで、より精度の高い診断につながることが期待できるとしている。
非造影CT画像や軽微な変化から膵臓がん罹患リスクを評価する技術開発目指す
両者は今回確立した技術を応用して、一般的な検診や人間ドックで撮影される非造影CT画像からも同様に膵臓がんが疑われる所見を検出するAI技術の開発を進めるという。
さらに将来的には、膵臓がんが発生する前段階で見られる膵臓の腫大や萎縮などの軽微な形状変化を検出し、膵臓がんに罹患するリスクの高さを評価する技術の開発にも取り組んでいく予定。これらの技術で潜在的な膵臓がん患者を拾い上げ、早期治療による予後の改善と膵臓がん患者のQOL向上を目指すとしている。
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