GCP省令では、被験者が治験に参加する際、予め治験の内容その他の治験に関する事項について当該者の理解を得るよう文書により適切な説明を行い、同意を得ることとされている。ガイダンスでは、近年の情報通信技術の進展や技術を活用した治験の分散化・効率化の観点を踏まえ、電磁的方法により表示・提示される文書やビデオ通話等を用いた説明・同意の手続きを行う場合の留意点を示した。
基本的な考え方として、従来の対面の場合と同等の説明・質疑応答が治験責任医師や治験分担医師の責任のもとで行われることを前提に、eコンセントの実施は可能とした。電磁的方法を用いることにより、被験者の自由な意思決定に影響が及ばないようにすることとし、従来の方法による説明・同意取得と電磁的方法を用いた説明・同意取得と組み合わせることも認める。
eコンセントを実施する場合、説明・同意取得の相手が被験者等本人であることを確実に確認可能な手順を定めた上で、それを適切に実施する必要があると明記した。具体的には、被験者と治験責任医師の双方が、身分確認書類の提示を行い、お互いに本人であることの確認を実施する必要があるとした。
説明・同意取得を行う場所については、治験責任医師と被験者の双方が、被験者等のプライバシーや治験実施に関する機密性が適切に確保されるような場所、方法で対応するよう求めた。治験責任医師は機密性が担保された空間から参加し、治験や診療に関与していない者がいないことを被験者に示すと共に被験者がプライバシーの確保された空間から参加していることを確認することとした。
説明・同意文書の写しの交付は、説明・同意文書の電磁的記録を出力したものの手交・郵送のほか、被験者等の承諾を得た上で、電子メール、DVD-R等による交付や、クラウド等システムを通じて、被験者等が説明・同意文書の電磁的記録をダウンロードすることにより行っても差し支えないとした。動画等が説明文書に含まれる場合は、動画等を閲覧可能な形で交付をするか、その内容が把握できるスクリーンショットなどで交付することとした。