20の対象疾患外で、早期診断・治療により予後改善できる疾患を有料検査
埼玉医科大学は4月3日、群馬県でより多くの疾患を対象とした拡大新生児スクリーニングを持続的に実施するために、拡大新生児スクリーニングの検査体制を確立したことを発表した。これは、同大ゲノム医療科/希少遺伝性疾患先進ゲノム医療開発寄附研究部門の大竹明特任教授、奧山虎之特任教授らのグループが、群馬大学、群馬県、千葉県こども病院ほかと共同で行ったもの。群馬県の多くの分娩取扱施設で、4月1日から開始予定となっている。
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小児の病気の中には、生まれてすぐには気づかれないが、成長するにつれて重い障害が明らかになるような疾患があり、この中には新生児期に発見し治療を開始することにより発症を予防できる疾患がある。日本ではこのような20の疾患を対象に新生児マス・スクリーニングが行われている。しかし、早期診断・早期治療が望ましい疾患はそれだけではない。拡大新生児スクリーニングは、新生児マス・スクリーニングの対象になっていない疾患で、早期診断・早期治療により患者の予後を明らかに改善できる疾患を対象に、有料検査として行うものだ。
CReARID、埼玉・千葉58病院で拡大新生児スクリーニングを実施、患者12人を早期発見
同大の大竹特任教授、奧山特任教授が千葉県こども病院の村山圭部長と共に立ち上げた一般社団法人希少疾患の医療と研究を推進する会(CReARID、クレアリッド)では、2018年2月より拡大新生児スクリーニングを行ってきた。CReARIDではライソゾーム病6疾患、重症複合免疫不全症 (SCID)、脊髄性筋萎縮症(SMA)、副腎白質ジストロフィーの9疾患を対象として、開始以来5年間で埼玉県、千葉県を中心とする58病院の出生患者合計6万6,571人を対象にスクリーニングを実施。12人の患者を発見し、その早期治療に貢献している。
群馬県、対象疾患が9疾患と最多のCReARIDを利用して開始
今回、群馬県で拡大新生児スクリーニングを持続的に実施するために、群馬大学大学院医学系研究科小児科学講座の大津義晃助教が主導し、群馬県先天性代謝異常等検査検討会議、群馬県産婦人科医会、小児科医会の協力の下、令和5年1月6日、群馬県生活こども部児童福祉・青少年課長より、県内分娩取扱施設宛に「先天性代謝異常等検査における拡大スクリーニング実施機関の周知」を促す通達が行われた。通達には、拡大新生児スクリーニング検査機関の資料が添付されたが、現時点で対象疾患が最多(9疾患)であるCReARIDを選択する分娩取扱施設が最多であり、各施設での拡大スクリーニング導入が促された。その動きに呼応し、群馬県の多くの分娩取扱施設で、4月1日からCReARIDを利用した拡大新生児スクリーニングを開始できる体制が整った。
「救うことのできる患者数を一刻も早く増やすためにも、そして受けることのできる方とできない方の差別をなくすためにも、今後一層の拡大新生児スクリーニングの広がりが期待される」と、同グループは述べている。
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・埼玉医科大学 プレスリリース