公正取引委員会は24日、九州エリアにおける国立病院機構(NHO)発注の医薬品入札に参加した医薬品卸に対する排除措置命令と課徴金納付命令を行った。対象事業者は、違反事業者番号順に、フォレストホールディングスのアステム(大分市)、スズケンの翔薬(福岡市)、東邦ホールディングスの九州東邦(福岡市)、富田薬品(熊本市)、アルフレッサホールディングスのアルフレッサ(東京都千代田区)、メディパルホールディングスのアトル(福岡市)の6社。アトルは課徴金減免制度(リーニエンシー制度)適用により命令は免除されている。5社の総課徴金額は6億2728万円となった。課徴金納付期限は10月25日。
同事件は、NHO発注の医薬品入札参加業者が独占禁止法第3条(不当な取引制限の禁止)に違反する行為を行っていたことに対して公取委が立入調査を行い、1月には両処分案を各社に提示していた。
公取委は5社に対して、▽当該違反行為を取り止めていることを確認し、今後相互間または他の事業者と共同して、NHOが一般競争入札により発注する医薬品について受注予定者を決定せず、自主的に受注活動を行うことを取締役会で決議しなければならない▽前項に基づいた措置を自社以外の4社、NHO、31病院に通知し、自社従業員に周知徹底しなければならない。この通知と周知徹底方法は事前に公取委の承認を受けなければならない――など5項目の排除措置を命令した。
企業ごとの課徴金は、アステムが1億9119万円(申請順位に応じた減免率10%+事件の真相解明に資する程度に応じた減算率20%=減免制度適用率30%)、翔薬は1億3328万円(同50%)、九州東邦が1億2759万円(同30%)、富田薬品が1億2445万円(同5%+20%=25%)、アルフレッサが5077万円(同10%+40%=50%)であった。
アステム、富田薬品、アルフレッサの3件は、2019年の独禁法改正で導入された調査協力減算制度が初めて適用されたケースとなった。
命令を受け、卸各社は同日、関係者への謝罪と共に今回の命令を厳粛に受け止め、さらなる再発防止の徹底に取り組んでいく決意を表明する文書を発表した。