ドローンによる医薬品配送をめぐっては、2021年に策定された指針をもとに全国で実証事業が進められている。厚労省と国交省は、実証事業で確認されている課題や意見を踏まえ、指針の改正が必要と判断した。

これまでの指針は実証事業を対象としていたが、改正版では「実証」を削除した。医薬品販売業者や薬局がドローンを用いて医薬品を配送する場合、薬局・医療機関で調剤された医薬品を患者にドローンで配送する場合など、指針の対象範囲も整理して記載した。

また、ドローンを用いた配送は避けるよう求めていた流通上厳格な管理が必要な一部の医薬品のうち、慎重に取り扱うことを条件に、劇薬の配送を認めることとしたが、麻薬・向精神薬、覚醒剤・覚醒剤原料、放射性医薬品、毒薬については、引き続き配送可能薬剤の対象外とした。

医薬品が配送先に確実に届く方法を検討することも必須とした。ドローンが大雨、強風等により運行できないことを想定し、医薬品配送をドローンのみに頼らず、既存の配送方法は引き続き実施できるようにしておくなど、緊急時における代替手段を常に確保しておくよう求めた。

事業者には、ドローン配送を行う地域、配送元、配送先、配送対象となる医薬品等に関する事業計画と業務手順書の作成を求めてきたが、遵守していない一部事業者が見られたため、業務手順書に従って業務を実施するよう強調した。

パラシュートで医薬品を投下している事業者等も確認されたとして、振動、温度管理への対処を含め、医薬品の品質保持が担保された方法で配送を行うよう求めた。

薬局開設者と薬剤師に対しては、患者に適切な薬剤を確実に授与する観点から、調剤した薬剤の品質の保持、患者への確実な授与について責任を負っていることも明記した。