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【厚労科研調査】供給不足可能性情報少なく-予見可能性の向上が課題

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2023年03月22日 AM10:45

医薬品の供給不足に陥った場合に約4割の製薬企業が1週間以内に情報提供していた一方、供給不足の可能性がある場合については1週間以内に情報提供している企業数が2割程度にとどまることが、厚生労働科学特別研究事業「医療用医薬品・医療機器等の供給情報を医療従事者等へ適切に提供するための情報システムの構築に向けた研究」(研究代表者:神奈川県立保健福祉大学大学院ヘルスイノベーション研究科坂巻弘之教授)の調査結果で明らかになった。供給不足が発生する前に医療機関や薬局に予見性が高い情報提供体制が必要となりそうだ。

調査は、、医療機器の供給情報を一元的に把握できる情報提供サイトを構築するために、情報提供サイトに盛り込むべき必要な情報や入力方法などを検討するために実施したもの。

17日に開かれた厚生労働省の「医療用医薬品の安定確保策に関する関係者会議」で公表された。

薬剤師を対象とした調査では、医薬品供給不足の情報公開・更新を求めるタイミングとしては1週間(5営業日)以内がほぼ半数を占めていた。製薬企業からの情報提供タイミングは、実際に供給不足に陥った場合に1週間以内の情報提供を行うのは自社MR40.4%、卸MS38.8%、自社ホームページ57.9%となったが、供給不足の可能性が発生した場合に1週間以内に情報提供を行うのはいずれも16%前後に下がっていた。

こうした結果から、実際に供給不足に陥った場合には1週間以内にタイムリーな情報入手ができると共に、供給不足の可能性のある場合にもタイムリーな情報提供のルールについて検討が必要であることが考えられた。

薬剤師に供給情報が不十分だった場合に日常業務への問題を聞いたところ、「適正な発注・在庫確保が困難」が90.4%、「同一患者で商品の変更を複数回しなければならない」が81.9%、「入荷の見通しがなく保有在庫での処方・調剤の適切な調整ができない」が81.4%との意見が多く挙がった。

また、薬剤師から見た製薬企業からの情報提供の問題点では、次の納品タイミング、供給不足の予定解消時期、供給可能量、流通状況が分からないことを問題視した。

医薬品卸でも予定解消時期や供給可能量を把握できないことを問題とする意見が上位となり、情報提供サイトを構築する際に流通在庫情報と供給不足解消時期、次回納入時期・量などで供給情報のニーズがあるとした。

薬剤師の半数以上は、「供給不足の開始日」「供給不足解消までの予想期間」「供給不足状況の変化」「供給不足が解消したこと」を供給情報として必要な項目としたのに対し、製薬企業、医薬品卸の「供給不足解消までの予想期間」に関する情報提供割合は2~3割にとどまった。

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