厚生科学審議会と薬事・食品衛生審議会の合同会議は10日、ファイザー製の新型コロナウイルスワクチン接種後に42歳女性が死亡した事例について「接種と死亡の因果関係は否定できない」と判断した。因果関係が否定できないと判断した死亡事例は初となったが、合同会議は「接種体制に影響を与える重大な懸念は認められない」として、接種の継続を決めた。
死亡事例の詳細を見ると、女性は昨年11月5日に4回目接種としてファイザーの「コミナティ筋注」のオミクロン株対応ワクチン(2価ワクチン)を接種後、同日に死亡が確認された。接種後、顔面蒼白や呼吸苦等を発現した後に心肺停止。心肺蘇生や複数回のアドレナリン投与が行われたものの、死亡に至った。女性は「接種前から体調が悪かった」と訴えていた。
救急搬送先として受け入れた医療機関の医師は、死因として急性心不全と報告し、接種との因果関係は「評価不能」とした一方、接種会場の医師は「関連あり」と報告した。
報告を受けた専門家は、女性が高度肥満、睡眠時無呼吸症候群、高血圧等の基礎疾患を持っていたことを踏まえ、接種以外の死亡につながり得る除外すべき急性疾患として、肺血栓塞栓症の有無について画像で評価。その結果、胸部の大血管内の血栓や脳梗塞を示唆する所見がなく、死因となり得る具体的な異常所見は確認されなかったとした。
そのため、画像所見等の情報の範囲内でワクチン以外の原因として死因となる異常所見は同定されなかったとして、「接種と死亡との直接的因果関係は否定できない」との見解を示した。