同剤の薬価収載に当たっての対応案に基づき、類似薬が存在するため類似薬効比較方式Iで算定を行った。比較薬として、効能・効果や投与形態の類似性を踏まえてMSDの「ラゲブリオカプセル200mg」と、ゾコーバ同様に呼吸器系の感染症に重症化リスクを問わず幅広く投与されていることなどを考慮し、塩野義の抗インフルエンザウイルス薬「ゾフルーザ錠20mg」を選定した。
これら比較薬の一治療薬価の平均値をゾコーバの薬価として、1錠当たり7054.70円と算定した。
その上で、「薬理作用発現のための薬剤の標的分子が既収載品目と異なる」として、新規作用機序を評価。5%の有用性加算IIを付け、125mg1錠の薬価を7407.40円、一治療薬価は5万1851.80円に設定した。
第8波の陽性者数推計が約1200万人であることを踏まえ、第9波以降も同数の陽性者数が発生すると予測し、全陽性者のうち1.2%に同剤が投与されると推計。その上での予測市場規模は、ピーク時の2年目に37万人、販売額は192億円とした。
予測販売額が100億円を超えるため、費用対効果評価の対象となり、新薬創出等加算品目にも該当する。
市場拡大再算定を行う場合の引き下げ率の上限として、予測販売額と比べて短期間で市場規模が急激に拡大した場合に限定した措置を新設することとした。
具体的には、年間販売額が予測販売額から10倍以上に急拡大し、かつ3000億円超となった場合に限り、現行ルールの上限値である引き下げ幅50%から66.7%(3分の2)に引き上げることとした。
同剤の薬価収載案について、委員からは「これまでの議論を踏まえて整理されたもので、概ね異論はない」と賛同の声が相次ぎ、了承された。
ただ、複数の支払側委員からは薬価が高額であると指摘があったほか、市場拡大再算定のあり方に対しても、松本真人委員(健康保険組合連合会理事)は「3000億円超という基準は甘い。然るべきタイミングで対応してもらいたい」と要求。
佐保昌一委員(日本労働組合総連合会総合政策推進局長)も「ゾコーバに限った対応と理解する。あくまでも特例的な取り扱いであり、仮に当該措置を取る事態になった場合は検証をしっかりと行うべき」と注文をつけた。